garamanのマジック研究室

超能力と確率

偉大なる数学者、マーチン・ガードナー氏の著作です。原本は「Fractal Music, Hypercards and More ...」で、日本語に翻訳する段になって、3部作に分けられました。ここで紹介するのは3部作の2冊目です。マジックに関する記述が見られるのはこの本の20%ほどでしょうか。ユリ・ゲラーの超能力を真っ向から否定したり、ハイパー・カードの作り方や応用例を紹介したり、ESPカードを使ったマジックへの数学的アプローチを披露したりと、ガードナー氏らしい記事が見られます。読み物として面白く仕上がっています。また、最後の方で紹介される二川滋夫氏の数理マジックは素晴らしい作品ですので、是非一度演じていただきたいと思います。本の構成上、このマジックを元にした応用例を示して、数学的に高度な方向へ話が流れていきますが、マジックとして演じるには、むしろ原案のままで演じる方が良いかと思います。

マジックとは直接関係しませんが、この本の出版過程をまとめておきます。ガードナー氏は「サイエンティフィック・アメリカン」誌において、1956年から1981年までの実に25年にも渡って「数学ゲーム」というコラムを連載していました。後日、その記事を元に、読者からの情報や自身の論文に発表した事柄を加えつつ、本の形で再販していきました。全部で15冊になったようで、その14冊目が「Fractal Music, Hypercards and More ...」です。「Fractal Music, Hypercards and More ...」を日本語に翻訳する時点でさらに3つに分けられ、それぞれ「フラクタル音楽」「超能力と確率」「円周率と詩」とタイトルが付けられました。

マーチン・ガードナー
一松 信(訳)
丸善株式会社

レビュー

なし