garamanのマジック研究室

誰とでも心を通わせることができる7つの法則

「メンタリズム」という言葉が流行ったのは、アメリカのテレビドラマの影響でしょうか、それとも DaiGo 氏の影響でしょうか。メンタル・マジックとメンタリズムは違うと主張する人もいるようですが、そもそもメンタル・マジックの定義も曖昧ですので、解釈は人それぞれでしょう。私はマジック全般を広く捉えているので、メンタリズムもマジックの中にすっぽりと収まります。私のサイトで紹介する以上、少なくとも私は「メンタル・マジック」の延長として捉えています。メンタリズムとは何か?という話題はこれくらいにして、本の内容について紹介しましょう。

DaiGo 氏が行うパフォーマンスをテレビでご覧になった方も多いことでしょう。この本は、フォーク曲げに代表される彼のパフォーマンスについての解説書ではありません。そもそもフォーク曲げはメンタリズムの本質ではなく、つかみの演技に過ぎませんし、これをきっかけに相手の心をどう方向付けていくか、という事こそ、著者が追い求めている「メンタリズム」なのでしょう。相手の何気ない仕草から読み取ることのできる情報はたくさんあります。自分から何かしらのアプローチをしておき、その反応を見れば、さらに秩序だった意味のある情報を得ることもできます。また、逆に自分の言動が相手にどういう印象を与えるかを意識して行動すれば、相手の心をある程度方向付ける事が可能になります。

今までには、テレビや雑誌等を通して、実に多くの心理テクニックが紹介されてきましたが、中には眉唾物の胡散臭い情報も多く含まれていました。サブリミナル効果のように、誰もが一度は耳にしたことがあるような事に限って、そのセンセーショナルな内容に乗せられて、盲目的に信用されてしまう側面があり、その信憑性はかなり曖昧です。その点、この本では比較的信憑性の高い原理・法則が紹介されている印象です。巻末の文献リストを見ると、海外のメンタリストやマジシャンの名前が目に付きますが、心理学に関する多くの文献が並んでいる事からも、慎重に選択されているのではないかと思います。

ただし、それらのテクニックの有用性を説明するために取り上げられるビジネスシーンには正直閉口しました。部分的にビジネスに活かせるテクニックは確かにありますし、私も実際にメンタル・マジックの要素を部分的に仕事に活かすことはあります。しかし、本に書かれているような使い方はおそらくうまくいかないでしょう。参考文献リストにビジネス書が無い事と、著者の経歴から見ても、おそらくビジネスの経験と知識は乏しいでしょう。例を鵜呑みにしないようにご注意ください。

ビジネスシーンについての考察は正直拙いですが、心理学についての考察はさすがです。胡散臭くならないスマートなメンタル・マジック(メンタリズム)が日本にも普及して欲しいと思っていたので、今後の活動にも期待したいところです。

DaiGo
ワニブックス

レビュー

なし