人を動かす秘密のことば
タイトルからも推察できるように、マジックのタネに触れるような記述は一切ありません。言葉やそれ以外の表現方法についての考察をまとめた本です。前田知洋氏は、しっかりとした台本を書き上げて演技に挑むマジシャンです。と聞くと、細かくて生真面目な印象を受けるかもしれませんが、几帳面だからそうしているわけではなく、「観客をもてなす」立場として、言葉の一つ一つ、所作の隅々にまで気を配っているからこその準備作業なのです。実演を経て、言葉使いを微調整しながら作品を作り上げていき、今の上品なスタイルが生み出されました。そんな前田氏の言葉の研究成果が分かりやすくまとめられています。「秘密のことば」という文字を見て何らかのフレーズを期待した方は、がっかりされるかも知れません。「秘密のことば」というより「ことばの秘密」といった方が誤解がないかもしれません。本に出てくる言葉は、私たちが普段何気なく使っている言葉そのものです。そんな言葉に込められた意味を改めて検証する事で「ことばの秘密」を探ろうという内容です。
レビュー
なし