garamanのマジック研究室

実証・日本の手品史

日本のマジックの歴史を紐解くには、どうしたら良いのでしょうか。殆どの方は、過去に出版されたマジックの本から断片的に話を拾い集める程度ではないでしょうか。マジック界で有名な方の著書なら、その本に書かれた話を鵜呑みにしてしまうことでしょう。だれ某が何年頃に海外に行き、何某かの演技をしてきた、と書かれていたら、そう信じてしまいます。その事実関係を突き止めるために当時の現地の資料にあたる人がいるでしょうか。今まで事実と思われていたことでも、人の記憶に頼った考察では、その真実味は計りかねます。それが「史実」だと言い切るためには、当時の現地の新聞記事や出生証明書、果ては国勢調査の資料などまであたり、徹底的な事実確認が必要になります。この荒行とも言える研究を、ともすれば楽しみながら行なってしまったのがこの本の著者である松山光伸氏です。

400ページ強の本で6000円という価格設定は高い印象を受けましたが、読後の今では倍の値段でも安いと思えます。日本のマジックの歴史に少しでも興味があるなら、この1冊は必ず入手しておく事をお薦めします。

松山 光伸
東京堂出版

レビュー

なし