garamanのマジック研究室

大江戸奇術考

元禄10(西暦1697)年、日本で始めての奇術解説書「神仙戯術」が刊行されてから明治時代を彩る松旭斎一門の活躍に至るまでの、日本奇術の歴史を振り返った内容です。今でこそ、日本と世界のマジックには大きな隔たりを感じなくなってきましたが、ほんの数十年遡るだけで随分と状況が変わってきます。単に古く稚拙なトリックを使用していたのではなく、世界に類を見ない独創的なマジック文化があったのです。奇術解説本も意外とたくさん刊行されています。「神仙戯術」「珍術さんげ袋」「続懺悔袋」「万世秘事枕」「和国たわふれ草」「神仙秘事睫」「仙術夜半楽」「放下筌」「天狗通」。。。

江戸時代には一体どんなマジックが行われていたのでしょうか?世界最古のクロースアップ・マジックとも言われる「カップ・アンド・ボール」が「お椀と玉」という名で演じられていましたが、この事実は江戸時代のイメージと結び付けてもさほど違和感なく受け入れる事ができます。では、「カードマジック」や「コインマジック」も盛んに行われていたとしたらいかがでしょう?さらに「科学マジック」や「メンタル・マジック」まで演じられていたとしたら。。。これらのマジックは、紛れもなく当時実際に演じられていたのです。さらには、様々なギミックも考案されていましたし、イリュージョンだって行なわれていたのです。

泡坂 妻夫
平凡社新書

レビュー

なし