garamanのマジック研究室

タネも仕掛けもございません

「手妻師」藤山新太郎氏による「昭和の奇術師列伝」といった趣の読み物です。芸能の世界に生きる方たちは、観客に見せる顔を匠に表現してきました。そして、舞台裏の大変さを見せないという美学がありました。最近のテレビでは、売れ始めると直ぐに(時として売れる前から)「誰々の素顔に迫る」といった安っぽいドキュメントが放送されますが、昭和の芸人の素顔は殊更に隠されてきた傾向があります。特に奇術師ともなると、秘密を守るプロのようなものですから、その素顔を知る人は本当に数少ないはずです。では、どんな人ならそれが可能なのでしょうか?昭和の奇術師達の舞台裏に出入りできただけでは、その秘密を知る事はできなかったはずです。また、奇術師と直接話す機会があったとしても、まだ足りないはずです。秘密を守るプロが、自然と秘密を口にしてしまうような相手にならなければいけません。おそらく、真摯に芸事に取り組む姿勢をもった若手や、つい愚痴をこぼしてしまうよう信頼できる話し相手、といった人材でなければ不可能だったでしょう。それを可能にしたのが、著者の藤山新太郎氏なのだと思います。この本の価値は、初版の帯に寄せられたビートたけし氏のコメントに表現されています。

「マジックのタネより面白いのは奇術師の人生だっつーの!」

藤山 新太郎
角川選書

レビュー

なし