garamanのマジック研究室

タロットカードマジック事典

タイトル通り、タロットカードを題材とした珍しいテーマの本です。メンタル・マジックとして演じている作品に通常のカードを使用すると、急にカードマジックっぽい印象を与えてしまい、何かテクニックが使用されているのではないかと勘ぐられてしまいがちですので、メンタル・マジックとカードはあまり相性が良くないと言われています。そのためメンタル・マジックに使用する道具は、できるだけ他のマジックでは使用しないもので、かつ簡単に手に入る日用品に落ち着く事が多いものです。そんな発想を根底から覆えし、タロットカードを使ってしまうその発想は素晴らしいの一言に尽きます。タロットカードの神秘性の高さが、メンタル・マジックの雰囲気にとてもよくマッチします。また、例えば通常の52枚1組のカードをシャッフルしている姿が、カードマジックのテクニックを連想させるのに対し、タロットカードを混ぜ合わせることは、これから起こる不思議な現象への期待感を増す効果さえあるのです。

全体を三部に分けて構成してあります。第一部では基本的なメンタル・マジック、つまりセルフワーキングに類するマジックを扱っています。第二部では少し難易度を上げてテクニックを介在させたメンタル・マジックを扱っています。とはいうもののカードマジックとしては基本に属する程度の技法が殆どです。第三部はエキスパート(マニア?)へ向けて、より高度のメンタル・マジックが扱われています。技術的な難易度が上がっているいうわけではなく、より良質なメンタル・マジックといった方が適切かもしれません。このレベルの作品では、メンタリストの力量やセンスが相手に与える印象を大きく左右します。

松田 道弘
東京堂出版

レビュー

エモーショナル・リアクションを考える