garamanのマジック研究室

奇術師

1995年に刊行されたクリストファー・プリーストの小説「The Prestige」の全訳本です。世界幻想文学大賞受賞を受賞しています。この全訳本が刊行されたのは2004年のことですから、その後2006年に映画化された「THE PRESTIGE」が封切られるまでわずか2年でした。そのため小説の方を知るより前に映画を見た人も多かったようです。残念な事にその映画でガッカリしてしてしまった人も多かったようですので、その後小説を手にとることはなかったかも知れません。ですが、もし映画を見終わった後にこの小説を読んでいたら、あまりの内容の差に驚かれた事でしょう。登場人物や、ストーリー展開の視点、両マジシャンの対決内容、果ては結末までもが大きく違います。やはり複雑なストーリー展開ではありますが、抽象的な表現は少なく、映画よりは理解しやすいかと思います。500ページを軽く超えるボリュームを感じさせない程のリーダビリティーがあります。ぐいぐい引き込まれていくこの感覚を味わってしまったら、やはり映画は物足りなく感じるかもしれません。

ところでこの作品はどんなジャンルに分類されるのだろうかと気になり、ハヤカワ・オンラインを覗いてみました。「ミステリ」「ファンタジー」「戯曲/演劇」「映像化作品」「受賞作品」「サスペンス/心理」「恋愛/青春」「雑学/教養」「歴史/政治」だそうです。担当者の方も随分と悩まれたものとお見受けします。

Christopher Priest
古沢 嘉通(訳)
ハヤカワ文庫

レビュー

なし