garamanのマジック研究室

澤浩の奇術

澤浩氏のマジックに魅了された誰もが、一度は書籍が発行される事を願ったのではないでしょうか。世界的に評価の高いアマチュアマジシャンでありながら、発表する事や記録に残す事にまったく執着のない方ですから、殆どの方はあきらめていたはずです。そんななか、宮中桂煥氏によって、その夢が実現する事になりました。澤氏の本を求める方はきっと、作品の仕掛けの解説だけではなく、その発想の源や構成の考え方について知りたいと思うでしょう。さらには、今まで色々な場面で澤氏が発表してきた作品を纏めた、資料的な価値にも期待するに違いありません。そんな思いを満たしてくれる本が発行されたのです。

【作品集】【奇術論】【参考資料】の3部構成になっています。
【作品集】では160ページほどで21の作品を解説し、【奇術論】では社会心理学者でもある小坂井敏晶氏が、澤氏へのインタビューを元にその思考の世界観を分析し、30ページほどの記事として纏められています。最後の【参考資料】は特徴的で、澤氏が作り上げてきた「効果」について纏められています。澤氏のオリジナリティーは、作品の手順にあるのではなく、大半がその効果や現象・エフェクトにある、という著者の主張が反映されており、まさにそのとおりだと思います。

付録のDVDは、この本のためのレクチャー資料ではなく、過去のショーでの映像や、ご自宅やご家族の映像など、澤氏の人柄に焦点を当てたものになっています。B5版・212ページのボリューム。本棚で一際存在感を放ちます。

宮中 桂煥
東京堂出版

レビュー

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