garamanのマジック研究室

ザ・マジック 021号〜030号

デアゴスティーニから刊行された、隔週刊「ザ・マジック」。マガジンとDVDのセットで解説をするというスタイルは、マジックのレクチャーにはちょうど良いのかもしれません。監修はメイガス氏。現代のターベル・システムとなり得るか。
隔週刊 ザ・マジック シリーズ紹介

No.021

MAGIC
058. デビル・ハンカチーフ(変化)
059. デビル・ハンカチーフ(予言)
060. チャイニーズ・クラシック

付録
* デビル・ハンカチーフ


「デビルハンカチーフの基礎」として、付録についているデビル・ハンカチーフ扱い方が解説されています。テレビに出ているような人でも意外ともたついているケースがあります。これでは具体的に何をしているかが分からなくても「何かをしている」ことは伝わってしまい、不思議さも半減してしまいます。基礎を疎かにせず、スムーズに扱えるようになるまで練習すると良いでしょう。またコインの基本技法として「ハンピンチェン・ムーブ」と「ギャロー・ピッチ」も解説されます。作品としては、デビル・ハンカチーフを使った2作品と、コインマジックの名作「チャイニーズ・クラシック」が解説されています。どちらも、応用しやすい作品ですので、しっかりと身に付けると重宝します。

HISTORY OF MAGIC のテーマは「リチャード・ポッター」。アメリカで最初に成功を収めたマジシャンとして紹介されています。奴隷制度の残るアメリカでアフリカ系黒人マジシャンがなぜ成功することができたのか。フリーメイソンのメンバーでもあるらしく、その素性はミステリーに包まれています。WELCOME TO MAGIC WORLD では「マジシャン派遣ランド」が紹介されています。



No.022

MAGIC
061. 卵になるハンカチーフ
062. トライアンフ
063. クリック・パスのアクロス

付録
* 卵になるハンカチーフ


今回の基本技法は3つともカードの扱い方です。1つ目は「片手のファン閉じ」。このような言い回しを聞くこと自体が珍しいですが、それだけ解説されるケースが少ないのだと思われます。片手ファンができるようになったら、せっかくなら片手で閉じれるようになっておきたいところです。実践的なアドバイスが添えられていますので、合わせて練習しておくと良いでしょう。2つ目は「オートマチック・ジョグ・コントロール」。これもまた聞き慣れないワードですが、それもそのはず「片手のファン閉じ」を使ってジョグ・コントロールをする方法です。3つ目は「トップ・パーム」です。ただし、手の平とカードの位置関係を意識するところだけの解説です。パームにもっていくプロセスは次号で解説されます。

作品解説も3つです。ひとつ目は「卵になるハンカチーフ」。サッカートリックの名作です。必要なものは付属しています。ふたつ目は「トライアンフ」。ここにきて、急に本格的なカードマジックです。マジックブームの時にテレビでよく見かけた作品なので、この作品からカードマジックを始めた人も少なくないでしょう。ダイ・バーノンの名作です。みっつ目は「クリック・パスのアクロス」。コインマジックです。作品というよりは基本技法に近いですが、コインマジックをするならぜひマスターしておきたい技です。

HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では創業19年のマジックショップ「手品屋」が紹介されています。



No.023

MAGIC
064. 3ボール・ルーティン
065. コイン・スルー・ザ・テーブル
066. マジシャン VS ギャンブラー

付録
* マジック用ボール


今回の基本技法は1つだけです。前回の「トップパーム」の解説は手の平とカードの位置関係を意識したものでした。それに続いて今回は具体的な手順のプロセスを解説しています。号を跨いだわりには、たったの1ページでの解説です。ページ数の都合でしょうか。。。

作品解説は3つです。ひとつ目は「3ボール・ルーティン」。クラシック作品のひとつで、多くのマジシャンが演じてきたものです。3つのボールが消えたり移動したり、目の前で次々と現象が引き起こされます。これを演じるためのボールも付属しています。ボールについては人によって好みはあると思いますが、初心者ならこの雑誌に付属しているような滑りにくいゴム製のボールが扱いやすいと思います。2つ目は「コイン・スルー・ザ・テーブル」です。こちらもクラシック作品のひとつで、アル・ベーカーの手順をアレンジしたものが解説されています。3つ目は「マジシャン VS ギャンブラー」。ハリー・ローレインの代表作で、将来のクラシック作品になりえる名作です。マジシャンとギャンブラーの対決というストーリーに乗せて演じられる作品で、多くのマジシャンが演じています。また、この作品で早速「トップ・パーム」を使用します。

今号は本格的な作品ばかりが収録されているせいか解説が多めで、HISTORY OF MAGIC や WELCOME TO MAGIC WORLD はお休みです。



No.024

MAGIC
067. ジャンピング・ダイヤ
068. 復活するブックマッチ
069. ハンキー・パンキー

付録
* ジャンピング・ダイヤ


今回の基本技法は1つだけです。今号のメインの作品である「ジャンピング・ダイヤ」で使用する「パドル・ムーブ」です。ジャンピング・ダイヤとセットの技法として認識されていることも多いですが、たまに他の作品でも登場します。

作品解説は3つです。ひとつ目は「ジャンピング・ダイヤ」。クラシック作品のひとつで、たくさんの本に解説されています。ただし、子供向けや入門書レベルの本に載っている傾向が強いように思えます。子供向けの本で多く見かけると子供騙しのような印象を受けてしまいますが、長い歴史を生き抜いた名作です。2つ目は「復活するブック・マッチ」です。こちらは逆に子供には通用しないかもしれません。そろそろ”ブック・マッチ”って何?という世代が台頭してくるでしょう。3つ目は「ハンキー・パンキー」。古典的なプロダクションマジックで、名作です。ハンカチをひっくり返すたびにコインが現れ、最後にはタバコやライターも現れて一息つくというオチですが、そろそろタバコを出すのは避けた方が良いでしょうから、別な品物で個性的な演出を考えたいものです。

HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では、新宿歌舞伎町のマジック・バー「CUORE (クオーレ)」が紹介されています。いつもよりも大人寄りな号になったようです。



No.025

MAGIC
070. リッピンコット・ボックス
071. ジャンプする輪ゴム
072. コーヒーの読心術

付録
* リッピンコット・ボックス


今回の基本技法は1つだけ、カードの基本技法として「コンビンシング・フォース」が取り上げられています。

作品解説は3つです。ひとつ目は「リッピンコット・ボックス」。マギーボックスとも呼ばれる古くからある道具ではありますが、今でも新鮮な印象を与えられるポテンシャルを秘めています。あくまでも道具の名前ですので、それを使ってどのような現象を起こすのもマジシャン次第です。この号では最も基本的と思われるコインの移動現象として解説されています。観客のコインがいつの間にか鍵のかかった小箱に移動しているという作品は、あくまでも基本的な例と捉えて、様々な使い方を工夫してみてください。2つ目は「ジャンプする輪ゴム」。こちらも古典的な作品です。人差し指と中指にひっかけた輪ゴムが、一瞬で薬指と小指に移動します。3つ目は「コーヒーの読心術」。これはプロマジシャンRYOTA氏考案のオリジナルマジックです。ESPカードを使った読心術のちょっと洒落た演出といったところです。

今号も、HISTORY OF MAGIC はお休み。逆に初めての試みとして「TABLE MAGIC SHOW」というコーナーができました。この号までに解説されてきた70以上の作品から厳選して7つを抽出して、全体として15分程度のショーを構成しています。WELCOME TO MAGIC WORLD では、リアルマジシャンRYOTA氏と、氏の運営しているマジックショップ「REAL-MAGIC SHOP」が取り上げられています。



No.026

MAGIC
073. カラーチェンジング・デック
074. ネクタイの首抜き
075. シェルを使ったコインの手順①

付録
* Bicycle(赤)1デック
* ダブルバック・カード1枚


今号の基本テクニック講座で取り上げられているのは「シェルの原理」。。。そう、テクニックではありません。第2号に付属していたシェルを使った基本的な原理についての解説です。増加・現象・変化、とバラエティーに富んだ現象を起こせるこの道具について、あらためて解説されています。

作品解説は3つです。ひとつ目は「カラーチェンジング・デック」。付属のデックとダブルバック・カード1枚で起こせる現象です。青裏のデックの色が丸ごと赤に変わるというインパクトのある現象ですが、観客が選んだカードだけは青裏のままという不可能興味を刺激する展開です。最後には観客のカードも赤裏に変えた上に、デック全体を改めてもらうことも可能という作品です。2つ目は「ネクタイの首抜き」。いわゆる、よくあるマジックです。くるっと首に巻き付けたネクタイが、次の瞬間にはスルッと外れてしまうという作品です。忘年会や新年会にぴったりと謳っていますが、残念ながら2月の末。時期が合いませんが、練習の時間が確保できて良いのかも。。。3つ目は「シェルを使ったコインの手順①」。①とついている通り、次号以降で続きがあります。4回に分けて一連のルーティンが完成するような構成で解説されるそうです。①では、観客に4枚のコインを握ってもらったにもかかわらず、1枚がコップの中に移動し、握った手を開いてもらうと確かに3枚に減っているという現象が解説されています。

今号も、HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では、喫茶店「世田谷邪宗門」と、門主の作道明氏が取り上げられています。全国のマジシャン達から憧れの対象として存在している店舗です。



No.027

MAGIC
076. THEタバコ
077. タバコのセロファンの復活
078. シェルを使ったコインの手順②

付録
* THEタバコ


今号の基本テクニック講座で取り上げられているのはカード・テクニックが1つだけ。「ヒンズー・シャッフル・フォース」です。原理を知ってしまうと「通用するのか?」と疑問になることもあるかと思いますが、堂々と演じれば実際に通用します。

作品解説は3つです。ひとつ目は「THEタバコ」。必要な道具は付属しています。テンヨーから発売されていた同名の製品と同じ仕組みと思われます。1981年に考案されたもので、現在では入手しにくいかもしれません。誰もが一度は見たことがある有名なステージマジック「ジグザグ・イリュージョン」を模した作品です。人が入った箱をジグザグにずらしてしまうマジックを、小さな箱とタバコで実現したものです。添付の道具ではタバコの代わりに鉛筆が使われています。また、テンヨーのサイトには、原作の紹介とともに応用手順が2つ紹介されており、どちらも巧妙です。2つ目は「タバコのセロファンの復活」。タバコの箱を包んでいるセロファンの底の部分を剥がしてしまいますが、次の瞬間には元どおりになっています。愛煙家なら覚えておいて損のない作品でしょう。3つ目は「シェルを使ったコインの手順②」。前号の続きです。3枚のコインをコップに入れ、観客の手の上に持ってくると、コップの底を通り抜けてコインが1枚落ちてきます。

今号も、HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では、北海道でN0.1の品揃えを誇るマジックショップ「マジックMEBIUS」と、店主の沢村よしのぶ氏が取り上げられています。北海道のマジック界を支える人物です。



No.028

MAGIC
079. 変色ハンカチーフ
080. ワンアヘッドを使った読心術
081. シェルを使ったコインの手順③

付録
* ダイチューブ
* 緑シルク


今号の基本テクニック講座で取り上げられているのは、あらゆる分野で重宝する「ワンアヘッドの原理」です。例として、18号に付属していた「ダイス・フライト」を使って解説されていますが、他にもたくさんのマジックで活用できるテクニックです。

作品解説は3つです。ひとつ目は「変色ハンカチーフ」。握った拳の親指側に赤いハンカチを少しずつ押し込んでいきます。すると小指側からなぜか緑色になって出てきます。緑色のハンカチを押し込むと黄色のハンカチに変化し、さらに黄色のハンカチを押し込むと赤いハンカチに戻ります。途中拳を開いても余計なハンカチはありません。今号には緑のハンカチしか付属していませんが、赤は10号、黄色は22号に付属しています。ふたつ目は「ワンアヘッドを使った読心術」。基本的な原理はテクニック講座の中で解説済みですが、観客が思い描いた色や数字などをズバリ的中させる本格的なメンタルマジックとして解説されています。みっつ目は「シェルを使ったコインの手順③」。前号の続きです。左手に2枚のコイン、右手は空のままで両手を握りますが、コインの1枚が右手に移ります。

久しぶりの HISTORY OF MAGIC は「バルトロメオ・ボスコ」が取り上げられています。19世紀前半に活躍したイタリアのマジシャンです。誰もが認める「カップ・アンド・ボール」の名人でした。後にボスコを名乗るマジシャンが次々に現れるほどのマジシャンです。当時、なぜ彼が名を馳せることができたのか、その秘密をメイガス氏が分析している文章も必読です。



No.029

MAGIC
082. ファンカード(前半)
083. シェルを使ったコインの手順④

付録
* ファンカード


今号の基本テクニック講座で取り上げられているのは「ファンカードの扱い方」です。と言っても色々ありますが、かなりの分量を一度に解説しています。「ロウの塗り方」から始まり「ファンの開き方の特徴」では支点の位置による見え方の違いを解説します。さらに「正(順)ファン」「逆ファン」「片手のファン」「両手の片手ファン 〜S字ファン〜」「片手の逆ファン」と、基本的なファンのテクニックは一通り網羅しています。

作品解説は2つです。ひとつ目は「ファンカード(前半)」。DVDに収録されている演技動画のうち前半部分が解説されています。基本テクニック講座で取り上げた技術のみを使っています。後半の演技については、なぜか33号で解説されるそうです。ふたつ目は「シェルを使ったコインの手順④」。前号の続きです。観客の手に4枚のコインを重ねて置き、一番上のコインをマジシャンが取り除いたらすぐに残りの3枚を握ってもらいます。マジシャンが取り上げたコインを消すと、なぜか観客の手の中に移動し、観客が手を開くと確かに4枚のコインがあります。4号に渡ってコインの手順が解説されましたが、それらをスムーズにつなげて一連のルーティーンにしたものが、最後に1ページにまとめて解説されています。

HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では、銀座にあるマジックレストラン&バーの「GIOIA」が取り上げられています。プロマジシャンの龍野洋介氏がオーナーを務める店舗で、2020年の1月には銀座8丁目に拡大移転した人気のレストラン。店内のオブジェにも工夫が凝らされており、知的好奇心をくすぐる洗練されたお店。オーナーが直接スカウトしたマジシャンが顔を揃えるこのお店から、今号で取り上げられたのは「stellar(ステラ)」と「K-SUKE(ケースケ)」のお二人。ともに次世代を担う期待の若手マジシャンです。



No.030

MAGIC
084. シルクから現れるボール
085. ボールの消失と出現

付録
* ボール


今号はボール特集です。基本テクニック講座で取り上げられているのも、「ボールのパーム3種」「チェンジオーバー2種」「ロールダウン」「ボールのフレンチ・ドロップ」と、ボール三昧です。シルクと一緒にボールを扱うテクニックが出てきますので、演技の幅というか華やかさを増す大きな武器になるでしょう。解説では赤いシルクと赤いボールを使っていますが、赤いシルクからボールが生まれ出てくるようなストーリーなら同色が良いでしょうし、無かったはずのものが突然現れたという現象を強調したければ違う色の方がインパクトが強くなるかも知れません。

作品解説は2つです。ひとつ目は「シルクから現れるボール」。基本テクニック講座で身につけた「パーム」と「チェンジオーバー」を使い、さらにシルクのテクニックとして19号で学んだ「フォールス・ノット」を組み合わせて、何もないシルクから赤いボールを出現させます。ふたつ目は「ボールの消失と出現」。こちらはよりスピーディーにテンポ良くボールを扱い、指先の流れるような動きの中でボールを消し、また出現させます。

HISTORY OF MAGIC には、チャールズ・ディケンズが登場します。そう。「クリスマスキャロル」や「二都物語」でお馴染みの、あのチャールズ・ディケンズです。文豪がなぜ?と思わせる登場ですが、実はマジシャンとして活動していたこともあったんだとか。そしてもう1人、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ。彼もまた文豪でありながら熱心なマジック愛好家でした。今でもゲーテ博物館にはゲーテが孫に贈ったマジックセットが所蔵されているそうです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、ゆうきとも氏が取り上げられています。一般の方をマジックの世界に誘い、アマチュアマジシャンのスキルアップを促す、そんなレクチャラーとしても定評があります。



Magician MAGUS
DeAGOSTINI

レビュー

なし