garamanのマジック研究室

Stars of Magic 9

Stars of Magic シリーズDVD版の第9巻です。この第9巻にはビデオの Vol.14 と Vol.15 が収録されています。演技・解説はデビッド・ロスです。

Vol.14は「Live in London」。ロンドンでのレクチャーの様子です。(多分)アマチュア・マジシャンへのレクチャーですから、サラッと演じてじっくり解説しています。途中リテンション・バニッシュについて、観客からの質問も交えて熱いレクチャーが展開されます。

[Super Clean Coins Across] はその名の通り、非常にクリーンな現象です。左手に持った4枚のコインが1枚ずつ右手に移動します。最後には観客が3枚のコインを握った手の中に1枚のコインが移動します。

[One Coin Sequence] は、たった1枚のコインを使った移動現象の連続技です。クラシックな手順のようですが、ちょっとした工夫を織り交ぜてあり、マジシャンでもコインの行方を見失ってしまうように作られています。

[The Erasure Coin] は意表を突く作品です。1枚の銀貨を消しゴムで擦っていると、その部分が削れて平らになってしまいます。表面をこすると、銀が剥げてしまいます。しかも指がかかっていた部分だけは削れていないという細かい演出つきです。

[The Fabulous Three Ball Routine] は、デビッド・ロスには珍しい、ボールを使った演技が見られます。といっても使う技法はコインマジックに共通するものがありますが。

[David Roth Custom Coin Box Set] では、コイン・ボックスを使った移動現象や変化現象が次から次へと繰り広げられます。銀・銅・銀と入れた3枚のコインが、銅・銀・銅に変化するような現象は、このコインボックスでないと実現は難しいでしょう。

Vol.15は [Live in Philadelphia]。フィラデルフィアでのレクチャーの様子です。内容は良いのですが、カメラワークが良くありません。固定のアングルからの撮影でズームもしませんので、スペルバウンド現象などは視認する事ができません。デビッド・ロスの台詞と観客の反応から「あ〜、今変わったんだな」と思ってください。その分、手元のアップをしっかりと撮影した解説映像が割り込むようなつくりになっています。

[Stand-Up Wild Coin] は、Vol.13に収録されている [Wild Coin] の Stand-Up バージョンです。4枚の銀貨を1枚ずつ銅貨に変化させてはカップに投げ入れていきます。4枚の銅貨が入っているカップを確認すると、銅貨は4枚とも銀貨に変わっています。

[Sawa's Bank Night] は、日本のマジシャン沢浩氏考案の作品です。銀貨1枚を左手に握り、銅貨一枚はカップに投げ入れます。ところが左手を開くと銀貨とコインが1枚ずつ出てきます。新たに出てきた銅貨をもう一度カップに入れますが、また左手から現れます。銅貨を4回もカップに投げ入れた後、カップの中を確認すると4枚とも銀貨になっています。

[Stonehenge Coin Assembly] は、一風変わったオチのあるコイン・アセンブリ手順です。

[Coin in Bottle] は、タイトル通りの現象ですが、強烈なエンディングを迎えます。一時のマジック・ブームの影響でこのエンディング部分だけをクローズアップした演技を見かけることも多くなりましたが、やはり、コインがボトルに入り、それを取り出した時点でマジックが終わったような雰囲気を一度作ったあとに、ゆっくりと本当のエンディングを迎えるのが上品で良いような気がします。

[Tuning Fork] は、コイン・マジックというよりサウンド・マジックと言った方が良いかも知れません。音叉を叩いてその時の音を左手で搾り取ります。そのままグラスに注ぐようなアクションの後、ゆっくりグラスを傾けるとさっき鳴らした音叉の音が聞こえてきます。とても幻想的な作品です。着想が素晴らしい。またこの現象はコインマジックにも応用できると言い、グラスに4枚のコインを入れ、ガチャガチャと音を鳴らします。今度はその音をすくって右手に握りこみます。音だけを握ったその右拳を振ると、ガチャガチャと音が鳴ります。もちろん音だけを握っているわけですから、右手を開いても何もありません。シリーズを通して一押しの作品です。

収録時間は180分です。

David Roth
Murphy's Magic Supplies

レビュー

Tuning Fork