garamanのマジック研究室

Gemini Twins

あなたがよくシャッフルしたデックから、マジシャンが2枚のカードを選び、テーブルに表向きに置きます。残ったデックはあなたが持ちます。(ここから先はあなたの手の中で作業が進んでいきます)

まず、あなたが持ったデックから一枚ずつカードを裏向きにテーブルに重ねて置いていきます。好きなところで置くのを止めて、今置いたパイルの上にマジシャンが選び出しておいたカードのうちの一枚を表向きに重ねます。残ったパケットを更にその上に重ねます。(これで、あなたが適当に止めた位置に、マジシャンが選んだカードを一枚表向きに挟んだ事になります)もう一度デックを取り上げて同じ事を繰り返します。(これで、裏向きのデックの中に、マジシャンのカードが2枚表向きに挟まりました)

ここで、デックをテーブルにリボン・スプレッドします。マジシャンのカードが2枚表向きに見えますが、それらのカードと表面を接しているカードを一緒に抜き出します。表面を接したカード同士がそれぞれ、マジシャンのカードとメイト・カードになっています。

マーチン・ガードナー原案のセルフワーキング・トリックの傑作です。ちなみにジェミニは「双子座」、ツインズは「双子」の意味です。


ジェミニ・ツインズの改案

現代カードマジックのテクニック
p.40

松田道弘氏の改案です。セルフワーキング・トリックに技法を盛り込む事で、よりストーリー性を持たせる事に成功しています。マーチン・ガードナーの原案とアラン・アッカーマンの「ジェミニ・メイツ」のアイディアを踏まえて、改案のポイントや問題点に関する考察もされています。本編は5ページに亘って詳細に解説されていますが、その後の考察部分にも3ページを割いてるという力の入れようです。

原案ではテーブルに一枚ずつ置いていくイメージですが、松田氏の作品ではマジシャンがファン上に開いたカードに観客がカードを差し込むイメージです。実は、観客が差し込むというのは正確な表現ではないのですが、実際にこのマジックを見た観客には「好きなところに観客が差し込んだ」というイメージに映るはずです。(2006.10.07)

カラーチェンジング・ジェミニ

現代カードマジックのテクニック
p.48

タイトルの通り、カラーチェンジング・デックの効果とジェミニ・ツインズの効果を合わせた、松田道弘氏の作品です。原案との大きな違いは裏向きに広げたデックに表向きのカードが2枚差し込まれるのでなく、表向きに広げたデックに裏向きの2枚が差し込まれる事です。「向きが変わっただけ?」と思われるかもしれませんが、このアイディアがあるからこそ、最後のカラーチェンジング現象を引き立たせます。本人も書いている通り、一部わざとらしい一致現象があるため、原案のメンタル・マジック的な要素がなりをひそめ、マジシャンのテクニックを印象付けてしまうような気はします。その分、最後のインパクトを取ったといったところでしょうか。個人的には実験的な作品という印象を受けました。(2006.10.07)

ジェミニ・ツインズ

ザ・マジック 001号
p.4

「ザ・マジック」シリーズ第1巻の最初の作品として取り上げられています。ほぼ原案通りの手順です。技法が要らないにも関わらず、充分に不思議な現象を起こせる作品ですので、入門者向けに相応しい選択です。付属のDVDにMAGUS氏の実演も収められていますので、手順を覚えるのは容易でしょう。ただ、解説の物腰が柔らかい事が災いして、子供騙しの作品という印象を与えてしまうのではないかと、多少の不安を感じました。演じる方にとっては簡単でも相手から見ると一級の現象が起こせますので、相手が受ける衝撃に見合った演出を心がけると良いでしょう。色々な改案が存在しますが、原案通りでも充分にインパクトのある作品です。(2019.08.18)