garamanのマジック研究室

Upside-Down Deck

デックを半分に分け、それぞれをマジシャンとあなたが持ちます。あなたは自分で持っているパケットから自由に一枚を選んで覚えます。同様にマジシャンもマジシャンが持っているほうのパケットから一枚を選んで覚えます。お互いに今覚えたカードをテーブルの上に伏せて置きます。ここで覚えたカードの交換をします。お互いに相手が覚えたカードを手に取り、自分が持っているパケットの中に差し込みます。好きなだけシャッフルしても構いません。

今、マジシャンが持っているパケットにはあなたが覚えたカード、反対にあなたが持っているパケットにはマジシャンが覚えたカードが入っています。あなたが持っている方のパケットだけ、全体を表向きにひっくり返します。その後、表向きになったパケットを2つに分けます。マジシャンが持っている裏向きのパケットを、今2つに分けた表向きのパケットで挟むようにします。全体をそろえます。

今、1組のデックは上から 10数枚が表向き、下から10数枚も表向き、その間に20数枚の裏向きのパケットが挟まっています。しかし、このデックをマジシャンが広げてみると、全体が表向きにそろっています。。。一瞬で表向きにそろったデックですが、よく見ると2枚だけ裏向きなったカードが混ざっています。そうです、その2枚のカード確認すると、はじめにあなたが覚えたカードと、マジシャンが覚えたカードの2枚なのです。


アップサイド・ダウン・デック
〜 The Upside-Down Deck 〜

カードマジック入門事典
p.113

フランシス・カーライルのビジュアルな名手順です。ほとんど準備も必要なく手順の流れも簡単です。これほど易しい手順で、しかもノーマルデックで、かつこれほどビジュアルな現象を起こせるマジックは大変貴重です。手順が簡単なだけに、演技する人の個性を充分に発揮して個性的な見せ方ができるのではないでしょうか?手順が簡単である事は観客から見てもはっきりしていますから、淀みなく演じることが大切でしょう。もし、次の手順を思い出すのにちょっと間が空いてしまっただけでも、この作品の良さが損なわれてしまいます。

解説によると、このマジックだけを単売していたようです。それだけ効果的な名手順ということでしょう。単売といってもトリックカードを使用しているわけではありません。ノーマルデックでほとんど準備もなく演じることが可能です。中級者以上なら、全く準備せずに演技中に仕掛けてしまうことも可能です。(2005.06.05)

ひっくり返る2人のカード
- Topsy-Turvy (Double Reverse) -

カードマジック事典
p.149

観客の手の中で現象を起こす面白い手順です。考案者不明ですが、上記のフランシス・カーライルの作品より前からあるものなのかもしれません。私の推測では、「Topsy-Turvy」の方が古くから存在するトリックで、それの改案が「Upside-Down」であるような気がします。両者の違いを具体的に書くことはできませんが、「Upside-Down」に対して「Topsy-Turvy」の方が「観客参加のイメージが強い」「(観客から見て)若干手順が複雑に見える」といった特徴があるような気がします。技術的なレベルとしては大差ありません。

解説はたったの1ページです。しかも挿絵もありません。それでも手順自体は簡単に理解できると思います。マジシャンが手順を理解している事が必要なのは当然ですが、こういった観客参加型のマジックでは、観客が手順に追われる事無く、現象を理解できるように注意する事が重要です。パズル的要素が強くなってしまいますので、この種のマジックを続けて演じることも控えた方が賢明でしょう。カードを操作してもらうのは、マジシャンの想像以上に観客には負担が大きいものです。。。(2005.06.19)