garamanのマジック研究室

Wild Coin

マジシャンは3枚のハーフダラーを1枚ずつペニーに変え、次々とコップの中に落としていきます。おまじないをかけて、コップの中のコインをテーブルに出すと、全てがハーフダラーに戻っています。

デビッド・ロスの名作です。


ワイルド・コイン

コインマジック事典
p.178

デビッド・ロスの手順が解説されています。3ページにわたり10ステップで解説されています。豊富なイラストで理解も容易ですが、事典ですので手順を簡潔に書くことに意識が向いています。スピード感など演技の雰囲気が掴めない場合は、コインマジックとしてはメジャーな作品ですので、ネットの動画で確認できます。

3枚のコインがひとつずつ変化して最後に元に戻る、という現象を淡々と演じてフラリッシュ的に演じるか、それなりのストーリーを用意してマジックとして仕上げるかは、演者の判断です。(2022.03.21)

ワイルド・コイン No.1
〜Wild Coin No.1〜

世界のコインマジック
p.70

デビッド・ロスの手順が解説されています。デビッド・ロスらしさが発揮された名手順で、ワイルド・コインと言えはこの手順が基準になるのではないでしょうか。[コインマジック事典]の解説と同じですが、事典のように手順を箇条書きにまとめた解説ではなく、台詞回しや間の取り方なども含めて、18枚のイラストを添えて解説されています。

コインマジックを文章で解説するのが難しいものですが、この6ページにわたる解説は非常にイメージがつかみやすいです。オーソドックスな手順でもありネットでも動画を見つけやすいと思いますが、それすら不要なほど的確に表現されています。(2022.04.03)

ワイルド・コイン No.2
〜Wild Coin No.2〜

世界のコインマジック
p.76

デビッド・ロスの、グラスを使わない手順が解説されています。グラスの代わりに小銭入れを使用する手順です。コインが3枚入った小銭入れを観客に確認してもらってから始まります。小銭入れから3枚のコインをテーブルに出し、1枚ずつ銀貨を銅貨に変えるたびに小銭入れに戻していきます。3枚目のコインを銅貨に変えて小銭入れに戻した直後、もう一度小銭入れの中のコインをテーブルに投げ出すと、全てが銀貨に戻っています。始まる前にも終わった後にもコインを確認してもらえる手順なうえに、グラスではなく小銭入れを使いますので、即席的に演じることが可能なのが魅力的です。

備考として、4枚のコインを使う方法が紹介されており、よりビジュアルなコインの変化現象を追加しています。(2022.04.10)

ワイルド・コイン No.3
〜Wild Coin No.3〜

世界のコインマジック
p.165

ジェフリー・ラターの改案です。グラスを使わず、かつデビッド・ロスとは違う角度でアプローチした手順です。3枚の銀貨を入れた小銭入れを観客に確認してもらうところから始まるため、非常にクリーンな印象を与えられます。今確認してもらったばかりの小銭入れをテーブルに置き、そこから取り出した1枚の銀貨を左手に握り、手を開くと銅貨変わっています。変わった銅貨をテーブルに置いたら、続けて2枚目・3枚目の銀貨も次々と取り出しては銅貨に変えていきます。終わった後テーブルの3枚のコインは観客に確認してもらうことができます。手順の最初と最後がクリーンな作品で、スピーディーで鮮やかに現象を見せることができます。

第二の方法も解説されています。1枚目の銀貨を取り出して銅貨に変えてテーブルに置くところまでは同じ。2枚目の銀貨を取り出したら、一旦1枚目の銅貨の上に重ねて、重ねた2枚ごと取り上げて左手に乗せます。左手には銀貨と銅貨が1枚ずつ乗っている状態です。左手を裏返しながら銅貨1枚だけをテーブルに置き、残りの1枚は握っておきます。しかし、手を開くと、銀貨のはずの1枚が銅貨に変わっています。変わった銅貨をテーブルの銅貨に重ねておきます。最後の銀貨を小銭入れから取り出したら、左手に乗せます。テーブルの2枚の銅貨を取り上げて、左手の銀貨を挟むように重ねて右手で持ちます。中央の銀貨だけをあらためて左手に握りますが、手を開くと銅貨に変わっています。左手を握った前後でビジュアルにコインが変化するのが特徴です。

さらに第三の方法も解説されています。小銭入れから取り出した銀貨を左手に握り込むと、直後に銅貨に変わっています。同じように2枚目・3枚目の銀貨も次々と左手に握っては、銅貨に変えます。第一の方法に似ていますが、コインが変化した直後に観客に改めさせることもできる手順です(実際にそのタイミングで改めさせる必要はありませんが)。器用な人なら第三の方法が一番しっくりくるかもしれません。(2022.04.17)

唯一無二のワイルド・コイン
〜Wild Like No Other〜

コインマジック大事典
p.164

デビッド・ロスは世界のコインマジックで2つの手順を発表し、大きな反響を得ました。しかし、これらの手順では銀貨から銅貨に変わった後、3枚の銅貨を同時に見せることはできませんでした。演出上必要ないとも言えますが「3枚の銀貨が1枚ずつ銅貨に変わるたびにグラスや小銭入れに入れられていく」という現象と「3枚の銀貨が1枚ずつ銅貨に変わり、3枚の銅貨がテーブルに並ぶ」という現象には、観客から見ても大きな差があります。

簡単に言えば、3枚目のコインを変化させる時の印象に大きな違いが生まれます。前作まではすでに銅貨に変わった2枚のコインは、グラスか小銭入れの中に入っています。それに対して今作では、すでに銅貨に変わった2枚のコインはテーブルの上に並んでいます。この説得力の大きさは魅力的です。ある程度の技術を持ったマジシャンなら、おおよその仕組みには気がつくでしょう。しかし、音の問題に結構悩むはずです。。手順の中に「音の処理」を巧みに紛れ込ませるアイディアに脱帽です。(2022.04.23)

ラッピングを使わないワイルド・コイン:その1
〜No-Wrapping Wild Coin No.1〜

コインマジック大事典
p.170

デビッド・ロスによる、ラッピングを使わない手順です。自分でセッティングした環境ではない場合、テーブルや観客の位置によってはラッピングが使えない時があります。そんな時のためにもラッピングを使わないバージョンも価値のあるものです。銀貨1枚と銅貨3枚を使った手順で、観客の目には3枚の銀貨が1枚ずつ銅貨に変わる現象として映ります。また、レギュラーコインと小銭入れしか使いませんが、その小銭入れをうまく活用することで、前述の現象をきれいに完成させています。

小銭入れを利用したハンドリングは若干難しいですが、適切なイラストが添えられているので、理解に苦しむことはないでしょう。(2022.04.31)

ラッピングを使わないワイルド・コイン:その2
〜No-Wrapping Wild Coin No.2〜

コインマジック大事典
p.173

デビッド・ロスによる、ラッピングを使わない手順の更なる改案です。前作では手順の最後に音がなってしまう可能性があるため、それを避けるために工夫が凝らされています。前作同様小銭入れをうまく活用していますが、使い方は異なります。最後のコインが変化するタイミングで音を鳴らさないようにするための工夫ではありますが、その結果1枚目からハンドリングが異なる手順になっています。

解説は1ページ強程度のボリュームです。(2022.04.31)

お気に入りのワイルド・コイン
〜Favorite Wild Coin〜

コインマジック大事典
p.175

デビッド・ロスのお気に入りの手順だそうです。銀貨と銅貨を1枚ずつと、チャイニーズコイン3枚を使った手順です。現象としては銀貨が3回銅貨に次々と変化し、小銭入れに戻していったにもかかわらず、最後に観客に小銭入れを確認してもらうと、チャイニーズコインが3枚に変わっています。

小銭入れをすり替えることもなく、チャイニーズコインをパームし続けることもなく、ラッピングもせず、レギュラーコインで演じます。 コインチェンジのテクニックを自由自在に扱えるようになることが、この現象を構成するだけの発想力を生み出したのでしょう。(2022.05.07)