garamanのマジック研究室

Linking Rings

いくつかの金属製の輪をつないだり、はずしたり。。。現象をここで説明するまでもなく、誰もが一度は目にしたことがあるかもしれません。

使用する輪の数が3本から10本以上のものまで、実に多種多様な手順が存在します。このマジックの発祥は今でもはっきりとはわかりません。。。


Chinese Linking Rings
〜 11本リングの手順 〜

ターベルコース・イン・マジック 第4巻
p.291

11本のリングを使った手順です。ユージン・ローランの完成された手順が、22ページにもわたって台詞付きで詳細に解説されています。何十通りもの手順を試し、最も効果的な方法だけを凝縮させて完成されたもので、手順の長さも適当であると解説されていますが、現代の感覚では長すぎるかも知れません。

繋がったり、外れたりするだけではなくて、その途中にできる色々な形(繋がり方)も面白いものが沢山あります。この手順では、「砂時計」「ジャイロ・スコープ」「鎖」「一人用ブランコ」「キャッチャー・マスク」「地球儀」「バラの花」「丸い正方形」「鉄の十字架」「二人用ブランコ」「リングの十字架」などの形を次々と作り出していきます。(2005.01.16)

WEBER'S EMERGENCY ROUTINE
〜 ウェーバーの緊急用手順 〜

ターベルコース・イン・マジック 第4巻
p.313

ハーマン・ウェーバーは、リングのマジックを得意としていたマジシャンです。彼が、キーリングを使用しなくてもできる手順としてまとめたこの方法は、キー・リングを使えない状況でも実演できる緊急用の手順として解説されていますが、決してそんな限定的なものではありません。そのエッセンスを他の手順に織り交ぜる事で一層不思議な現象を起こすことが可能になります。

一般的なキー・リングを使用した方法を知っている人を相手にしている場面では、このウェーバーの手順のみを演じることで大きな効果が得られるかも知れません。演技終了後には使用したリング全てを改めてもらう事も可能です。(2005.01.16)

JACK MILLER'S SPINNING RINGS
〜 ジャック・ミラーの回転リング 〜

ターベルコース・イン・マジック 第4巻
p.318

キー・リングが存在しないように見せる方法が紹介されています。リンキング・リングの手順の中に埋め込むと大変に効果がある面白い見せ方です。これ自体はマジックではなく、エッセンスの一つです。(2005.01.16)

TOMMY DOWD'S "ODIN" RING COUNT
〜 トミー・ダウド式"オーディン・カウント" 〜

ターベルコース・イン・マジック 第4巻
p.319

リングがバラバラである事を確認するための方法として、古くからある"オーディン・カウント"をトミー・ダウドが改良した実用的な方法です。これ自体はマジックではなく、エッセンスの一つです。(2005.01.16)

TOMMY DOWD'S SPINNING RING FLOURISH
〜 トミー・ダウドのスピニング・リング 〜

ターベルコース・イン・マジック 第4巻
p.322

リンキング・リングでは繋がったリングをはずす場面が多くありますが、毎回同じはずし方では見ていても面白くありません。一つの面白い方法をトミー・ダウドが考案しました。多少練習は必要ではありますが、決して無理な方法ではありません。練習しだいで必ず習得できるものです。こういったフラリッシュは練習するときの丁度良い息抜きにもなりますし、演技の自信にも繋がりますね。(2005.01.16)

高木重朗の5本リングの手順

クラシック・マジック事典
p.200

高木重朗氏の手順を高木氏自身の解説文で読むことができます。高木重朗氏がジェイ・マーシャルやダイ・バーノンの手順や技法を参考にして構成しなおしたものだそうです。使用するリングは5本です。

この本では、タイトルのとおり「クラシック・マジック」について書かれていますが、この高木氏のリンキング・リングの手順は「クラシック・マジックの近代的なルーティーン」という章で解説されているものなので、クラシックではありながら、決して古めかしいものではありません。長すぎず短すぎず、適度な時間と適度な演出が施されています。

解説自体も第1段から第12段まで分けて詳細に解説されているので、とても親切でわかりやすいです。本格的、かつ実用的なリンキング・リングをマスターするなら欠く事のできない名解説だと思います。(2005.01.16)

リンキング・リング・ファンタジー

澤浩の奇術
p.115

5本のリングで演じる澤浩氏の作品です。5本で行う都合上、全体的な構成が前述の高木重朗氏の作品と似ています。はじめに3本を繋いで見せ、残りの2本を繋いだり外したり。さらに5本の全てを繋いだあとには、見立て(様々な形を作り上げること)を取り入れています。高木氏の作品も澤氏の作品も共通して、「マジシャンが能動的に不可思議な現象を起こす」という姿勢が貫かれています。見る人に混乱を与えない構成です。

途中に「ヤコブのはしご」(縦に5連に繋がったリングの一番上のリングがコロコロと転がるように落ちて行き、一番下までたどり着くと、スッと外れてしまう現象)を取り入れている点や、そもそも5本で演じる事など、高木氏の作品とよく似ているのですが、全体的な印象は異なります。高木氏の方が「古典的」かつ「技巧的」なのに対し、澤氏の方が「近代的」で「流麗」といったところでしょうか。

この本の中でももっともボリュームを割いて解説されています。28ページの間に実に106枚ものイラストを添えるという力の入れようです。(2013.02.03)