garamanのマジック研究室

5円玉と矢

「5円玉と矢」というタイトルだけで現象が判ってしまうかもしれませんが、まずは下の写真を見てください。ハイパー・カード同様、作り方の解説はしません。


Allow 5 after

とにかく写真を見ていただければ、その不思議さは一目瞭然でしょう。あまりの不思議さに機械的な仕掛けが施されていると信じて疑わない人もいるようですが、そんなことはありません。正真正銘、正規に流通している5円硬貨と、一つの木片から切り出された一本の矢です。5円硬貨に仕掛けが無いのはもちろんですが、矢のほうにも一切の仕掛けはありません。途中で切ったり貼ったりしているところは無いのです。改めて写真を見てください。不思議ですよね?

Allow 5 before

ちなみにこの製品には、写真のように挑戦用として貫通していない5円玉と矢が付属しています。一応補足しておきますが、これを貫通させるために特別な道具は必要ありません。誰にでもできる手段で貫通させる事が可能です。この製品はマジック用品ではなくパズルとして販売されているものですが、ちょっと演出を考えればいくつか面白いマジックを作る事ができます(私自身、そのつもりで購入しました)。自分がマジック好きな影響でついついマジックに利用しようと考えてしまうのですが、なにも無理にマジックに仕立て上げる必要はありませんね(苦笑)。パズルとして楽しむだけで充分過ぎるほどの存在価値があります。

コーラの瓶に矢が貫通しているものや、5円玉に貫通した矢に更にもう一本の矢が貫通したものなど、色々なアイディアが発表されています。ここで紹介したように5円玉に矢が通るというシンプルな構成だけでも色々な名前で発表されてきました。「5円矢」「5円バー」「不思議な矢」「不思議な5円玉」などといった名前でご存知の方もいらっしゃるかもしれません。2007/05現在では「矢れば出来る!」という製品名で販売されています。歴史的には、1982年にゲイリー・フォシェ氏が発表したコーラの瓶に矢が通った作品をヒントに、日本のパズル作家の大御所・芦ヶ原伸之氏が5円玉に矢を通した物を発表されたようです。原案がフォシェ氏かというとそうでもないようですが、古くからのアイディアをフォシェ氏が一つの完成品に昇華させた功績は万人に認められているようです。