Bullet Trick
マジシャンは1枚のカードをテーブルに出します。その1枚とはスペードのA。これを弾丸に見立ててあとで使用します(大きなスペードのマークが弾丸に似ていているということで)。残りをリフル・シャッフルしますが、デックは揃えません。つまり、デックを2つに分け、各々の端が少しずつ交互に重なり合っている状態のままにします。この縦に細長く重なり合ったデックを立てて、あなたに見えるように1枚ずつカードを弾いていきます。途中、あなたがストップをかけたところで止めますので、今見えているカードを覚えます。もちろん、あなたが覚えたカードをマジシャンは知りません。あなたが覚えたらそのまま最後までカードを弾いていきます。
ここでマジシャンは縦に細長く重なり合ったデックの下半分の部分を左手で握り、上半分を90度倒します。左手で握っている部分がグリッブ、倒した部分が銃身。そうです、このデックをピストルに見立てるわけです。
予め1枚抜き出しておいた弾丸カード(スペードのA)がここで使われます。グリップの底から弾丸カードを少し差しこみ、マガジンを装着するようにガチャッと押し込みます。すると1枚のカードが銃身のほうから飛び出してきます。飛び出した1枚のカードは、あなたが覚えたカードです。
弾丸カード
〜 The Bullet Trick 〜
カードマジック入門事典
p.86
準備は一切不要で、難しいテクニックも要りません(ファロー・シャッフルが難しいという人には辛いかもしれませんが)。また、現象が分かりやすい上に、テクニカルな部分を感じさせない、素晴らしい作品です。マジシャンとしては演じていてつまらない作品に感じるかもしれませんが、観客側から見ると演技時間も短くて負担も少ないですし、あまり見かけない現象ですので、受けの良い作品だと思います。
手順が短いだけあって解説も1ページ半です。その中で7枚のイラストを添えて解説していますので、習得は容易でしょう。手順の簡単さと効果の高さに大きなギャップがありますので、手順に合わせた軽いノリではなく、効果に合わせた雰囲気作りに気をつけたいところです。
文末のコメントには「多少荒めのリフル・シャッフルでも成功する」と書かれていますが、やはり不安が残りますので正確さを期すにはファロー・シャッフルをする方が良いでしょう。(2008.01.27)
Four Bullet Routine
Stars of Magic Vol.3
演技 : Title1/Chapter2
解説 : Title1/Chapter3
フランク・ガルシアによる演技が収録されています。DVDでは、一連のルーティーンの一部として演じられており、[4 Ace Revelation] 系の手順が演じられた後、場に残った4枚のエースを弾丸に見立て使用しています。原案と違って、弾丸にするカードを観客に選んでもらっていますが、この作品の性質上、弾丸として使用するカードは何でも構いませんので、原案とまったく同じ作品と言って良いと思います。
また、原案でもそうですが、肝心のトリック部分は、演者の右側からは見えやすいという注意点があります。解説中でもはっきりと見えますので、説明はわかりやすいのですが、実際に演技するときには最新の注意が必要です。ちょうど、DVDの実演映像では観客が右側に立っていますので、ガルシアはその辺りのことも考慮した動きをしています。その点については特に解説はされていませんが、映像から読み取れます。(2018.08.26)