Card Puzzle
演者は、デックからJ・Q・K・Aの16枚を取り出して演技を始めます。
これをマーク毎に分けて4つの山を作ります。スペードの山、ハートの山、クラブの山、ダイヤの山、それぞれ4枚ずつです。観客の一人にその中から好きなマークの山を選んでもらいますが、なぜかその山は4枚のジャックになっています。残りの山を確認すると、それぞれクイーンの山、キングの山、エースの山になっています。
Dai Vernon の傑作のひとつです。
カード・パズル
カードマジック入門事典
p.283
ダイ・バーノンが「20ドルのマニュスクリプト」に発表した原案手順です。
現象は冒頭の通りです。バーノン自身がのちに改案を発表していますが、この本で解説されているのは原案の手順です。改案の方が演じやすくなっているものの、原案の難易度も決して高すぎるわけではありません。最初のカードの並びに注意を払い、4つのパイルを作るディールのタイミングで工夫を施すだけで、観客が見ている景色と実際のカードの状況が大きく変わってきます。観客がスート毎のパケットを作ったと感じた時には、ほぼ数値毎のパケットになっているということです。最後に完全に数字毎のパケットになっていることを確認するその瞬間に、観客の意識の隙をついてたった一度のスイッチを行います。
現象を実現するためのアイディアとして、とても力強いソリューションです。(2025.08.14)
オートマティック・キャッスル
カードマジックおとぎばなし
p.107
ニック・トロストの改案をさらに荒木一郎氏が改案しており、手順もプレゼンテーションも変えられています。
使用するカードは、J・Q・Kの3種類のそれぞれスペード・ダイヤ・ハートという9枚構成です。4種類のマーク毎に分けた山が4種類の数値の山に変わるという原案に比べて、3種類のマーク毎に分けた山が3種類の数値の山に変わるという改案は、多少見た目がスッキリするのですが、なぜクラブを使わないのかという疑問が残るのが気になる人もいるかもしれません。好みが分かれるところでしょう。
好みの問題はともかく、表向きに3枚ずつ同じマークであることを確認した直後に、3枚ずつデックの上に戻していきます。手順としてはたったそれだけです。その後デックを手に取りトップから3枚ずつ確認すると同じ数値毎に現れます。事前のセットは厳密に行う必要がありますが、それだけでこれほどのインパクトを生み出すことができるのは魅力です。この本全体のポリシーでもありますが、難しいテクニック不要で演出を楽しむということに主眼を置いた改案です。(2025.08.24)
カードパズル
松田道弘のクロースアップ・カードマジック
p.105
松田道弘氏の改案です。バーノンが「20ドルのマニュスクリプト」に原案を発表したあと、バーノン自身が「ファーザー・インナー・シークレット」に改案を発表しています。その改案に対して松田氏は「確かにきれいに完成されています」と褒めそやしていますが、それでいて「テーブルの上に4枚のエースを確かにおいた、という説得力に欠ける」と指摘しています。 そこを欠点と感じるかどうかは人によると思いますが、そこに欠点を見出した人にとっては、松田氏の改案は非常に効果的に映ると思います。注目している1点については非常に説得力が上がっていますので。ただ、残念ながら手順の一部で別の違和感が生まれてしまいました。新たに生まれた違和感については「文章で読むと不自然なように思えますが、スムーズに演じるとまったく気になりません」と釈明されていますが、それが成り立つなら、バーノンの改案もスムーズに演じれば気にならないと言う人もいるでしょう。好みの問題だと思います。良し悪しはともかく、注目する課題をどのように克服するのか、その思考の過程を覗かせてもらえるのは勉強になります。
松田氏の改案では、説得力を増すためにデュプリケートを一枚導入しています。それも好き嫌いの分かれるところでしょう。(2025.08.31)