garamanのマジック研究室

Card Warp

マジシャンは2枚のカードを取りだします。うち1枚は横に折り、もう一方の1枚は縦長になるように折ります。縦長に折り曲げたカードは表の面が見えないように折りたたまれています。

マジシャンが、横に折ったカードの間に縦長に折ったカードを通すと、表の面が見える状態で出てきます。つまり、横に折ったカードの空間を通す事により、縦長に折ったカードの裏と表が逆転してしまうのです。

ロイ・ウォルトンの代表作。

Cardwarp (Roy Walton)

カードマジック入門事典
p.322

空間が歪んでいるとしか思えないような現象を作り出すことに成功した、素晴らしいトリックです。カードマジック特有のテクニックは不要です。ただし、自然に見せるためには練習が必要です。現象がとてもすっきりしていて観客にとってわかりやすい事が特徴ですから、演技の流れが不自然だと、このトリックのほとんどの効果を壊す事になってしまいます。良く練習してから人前で演じれば、インパクトは絶大です。

また、この手順ではプレイング・カードである必要がありませんので、名刺などで行うことも可能ですが、折り曲げなければいけませんので、せめて自分の名刺にしたほうが良いでしょう。(2004.06.27)

捻られた次元のかげに

ビル・マジック
p.162

紙幣を使ったマジックを集めた珍しい本ですが、その中で最後に紹介されるのが、カード・ワープをテーマにした作品です。最もオーソドックスなカード・ワープ手順ではカードを2枚使いますが、色々なバリエーションの中には紙幣とカードを使う作品が少なくありません。著者によると、ボブ・マキャリスターが発表した、1980年代の終わり頃から紙幣が使われ始めたそうです。

この本に紹介されている作品は、過去の紙幣を使ったカードワープの流れを受けて、荒木氏がいいトコ取りした感じです。単に外側を覆うカードを紙幣に変えただけではなく、紙幣に変えたからこそできる見せ方が、クリーンな印象を与えることに成功しています。ロイ・ウォルトンの作品に比べて、改め方が強化されているといった印象です。ただし、その改めがしつこく感じる人もいるでしょう。実際に演じるには前半をもう少しシンプルにした方が受けが良さそうです。(2011.06.25)

グリーン・ワープ

世界のクロースアップマジック
p.192

ボブ・マキャリスターの、紙幣を使った作品です。これが紙幣を使った作品の元祖かもしれません。カードの独特な持ち方や、紙幣をめくって中のカードの状態を見せるやり方等、その後の作品に影響を与えたと思われるアイディアが既に盛り込まれています。カードの半分をこっそりとねじるという発想は原案と一緒ですが、カバーするカードを紙幣に変える事により、自然な動きの中で簡単にねじる事ができるようになったのは大きな進歩と言えそうです。しかし、カードを紙幣でくるむという事自体が不自然ではありますので、その発想を自然に受け入れてもらうには多少のストーリー性が必要だとは思います。

また、原案と違う大きなポイントとして、くるまれた状態から紙幣をめくって中を見せ、ねじられる前のカードの状態を見せられる点があげられます。解説文では単に手順しか書いてありませんが、このときにも適切なストーリー性がないと、見せられた意味が分からないはずです。そもそも、紙幣でくるんだだけの状態で中を疑わしく思うのは、アマチュアマジシャンくらいでしょう。一般の観客の視点では、何もおきていないはずのタイミングですから、何もおきていない事を証明するのは無駄と言えます。とはいえ、中を見せられるのはとても大きなポイントですので、観客が中を見てみたいと思うような流れを作ったうえで、ぜひ取り入れたいムーブです。(2014.08.25)