Magician vs. Gambler
あるギャンブラーとマジシャンの対決の様子を再現するというテーマです。
ある日マジシャンが出会ったギャンブラーは、52枚のデックから同じ数字のカードを4枚揃えて取り出すことができると豪語しました。そしてマジシャンに対して賭けを申し出たのです。マジシャンはこの挑戦に応じて4枚のカードを取り出します。もちろん同じカードを揃えることはできますが、マジシャンとしてのプライドも忘れてはいません。一度失敗したと見せかけて、ギャンブラーを煙に巻く展開を披露します。
マジシャンならずとも興味の沸くストーリーだと思いませんか?
マジシャン対ギャンブラー
カードマジック事典
p.307
ハリー・ロレインの名作です。原案者が誰なのかを追求すると1584年発行の「妖術の開示」まで遡りそうなので私の手には負えませんが、ハリー・ロレインの代表作として知られています。同じような現象の作品は無数に存在していますが、ストーリーと演出に工夫を凝らした事で、後世に残る名作が生み出されました。ギャンブラーへの挑戦が目の前で再現されるという魅力的な展開と、ギャンブラーをも煙に巻く意外なオチを持たせながらも、非常にシンプルな現象にまとまっています。怪しげなムーブも難しいテクニックも介在しません。それでいてこの効果。素晴らしいの一言です。
たったの2ページで1枚だけのイラストを添えた解説ですが、充分な内容です。是非、ギャンブラーに対決する凄腕マジシャンを演じてみてください。(2010.01.03)