Rising Card
あなたが選んだ一枚のカードが一組のデックに戻されます。一組のデックをカードケースやグラスの中に入れて立てておきます。すると、一枚のカードだけがゆっくりとせり上がってきます。自動的にせり上がってきたカードは、紛れもなく先ほどあなたが選んだカードです。
Rising Cards (1)
カードマジック事典
p.152
観客に選んでもらった一枚のカードをデックに戻した後、一組のデックを透明なグラスに差し込むと、選ばれたカードだけがせり上がってくるという手順です。事前の準備が必要です。
グラスに入れることで、一組のデックの周りには何も仕掛けが無いように演出することができます。また、グラスの上を右手で遮れば上から糸のようなもので吊っているという、ありがちな発想を打ち消すこともできます。過剰なあらためは禁物ですが、上から吊られていない事の証明は大切です。この証明をするかしないかでは、効果に雲泥の差があります。この本の中では、「グラスに輪をくぐらせるなどしてあらためても良い」とアドバイスされていますが、あらため方くらいは、演じる人のオリジナリティーを出したいものです。
演技の方向性として、マジシャンの不思議な能力によってカードがせり上がってくるのか、カード自身が自らの意思によってせり上がってくるのか、演技の内容をはっきりと示しながら演じることが重要です。(2005.03.19)
Rising Card (2) (Ken Krenzel)
カードマジック事典
p.153
準備の要らないケン・クレンツェルの手順です。観客に選んでもらったカードを一組のデックに戻したら、マジシャンはデックを右手に立てて保持します。そのまま、ゆっくりと右手を揺すると徐々に一枚のカードがせり上がってくるという手順です。たった11行の短い解説ですが、必要なアドバイスは全て盛り込まれています。ある程度の練習は必要ですが、一度マスターすればいつでも即席に演じることができます。(2005.03.19)
即席ライジング・カード
〜 Impromptu Rising Card Effect 〜
カードマジック入門事典
p.83
ポール・ルポールの手順です。特殊なデックや道具を使う手順は無数にありますが、この手順ではカード一組以外には何の道具も要りませんし、事前の準備も要りません。演出としては、選んでもらったカードを一組のデックに戻して左手に持った後、右手の人差し指を左腕の袖にこすり付けて静電気を起こします。静電気を蓄えた人差し指を一組のデックの上部に近づけると、選ばれたカードだけが人差し指に吸い付くようにせり上がっていくというイメージです。
この手順も多少の練習が必要ですが、一度マスターすればいつでも即席に演じることができるようになります。(2005.03.19)
スーパー・ライジング・カード
- Super Rising Card -
デレック・ディングル カードマジック
p.220
ライジングカードを大別すると、カード以外に道具を使うものと、使わないものに分けられるかと思いますが、この作品は道具を使います。ただし、想像もつかないようなものが採用されています。子供の頃に誰もが一度は遊んだ事がある道具ですが、まさかライジング・カードに使えるとは思えませんでした。この発想力には脱帽です。この道具を使うことを最初に考えたのはデビッド・フート(芸名デビッド・ブラック)だそうです。もちろんこの道具は、はじめから最後まで観客の目には触れないわけですから、道具を隠しつつ1組のデックを扱う事になります。
この本で解説されている作品は、デレック・ディングルが応用した作品で、GINII のデレック・ディングル特集号に掲載されたものです。解説を読むだけでは実現不可能にも思えるハンドリングですが、本人が実際に演じていたものです。ギルティーな印象を与えそうな部分が数箇所あることから、私も非現実的な作品だと感じていましたが、実際に手を動かしてみるとその疑惑も払拭されます。やっていて面白い作品です。
事前準備も不要ですので、この道具さえあれば意外と即席でできてしまいます。4ページ強の解説で、16枚のイラストが添えられています。実現不可能そうな作品ではありますが、その分、イラストが多く掲載されていますので、理解に苦しむ事はないでしょう。(2010.03.14)
ニュー・ピンキー・ライズ
世界のクロースアップマジック
p.38
フリードホッファーの作品です。体を右方向に向け、左手にデックを持って体の正面に構えます。観客には左手の甲側が見えている状態です。観客が選んだカードは既に混ぜられてデックのどこかにあり、これからせり出してくるという演出です。と、ここまでは、ポール・ルポールの「Impromptu Rising Card Effect」と同じです。ルポールの作品では右手の人差し指を伸ばした状態でデックの上部に当て、静電気の力を利用して、指一本でカードを引き抜くという演出ですが、フリードホッファーの作品ではここが違います。右手は完全に開いて、デックの向こう側にかざすだけです。観客から見ると、左手に持ったデックの向こう側に、開いた右手のひらが見えているような状態です。このままカードに催眠術をかけるような仕草で右手をゆっくりと上げていくと、その仕草に操られているかのようにカードがせり上がってきます。
この作品も完全に即席でできるもので、カード以外の道具を必要としません。(2014.08.31)