garamanのマジック研究室

Miser's Miracle

マジシャンはデックを広げ、観客にストップをかけてもらったところの2枚のカードを取り出します。取り出した2枚のカードを重ね合わせると、なぜかその間から1枚のコインが現れます。残ったデックでもう一度同じように観客にストップをかけてもらい、その2枚のカードを重ね合わせると、やはり1枚のコインが現れます。今度はカードを1枚だけ使うと言い、1枚のカードを半分に破って重ね合わせるが、またしてもそこから1枚のコインが現れます。最後にはその半分になったうちの1枚だけを使うといい、さらに2つに破ります。元のカードの1/4の大きさの紙片が2枚という状況です。もはやコインよりも小さな紙片になっていますが、その2枚の間からも1枚のコインが現れます。

ジェリー・アンドラスの作品です。カードマジックなのかコインマジックなのか、無理に分類するのは難しいですが、現象としては「コインの出現」だと思いますので、私のサイトではコインマジックに分類しておきました。


マイザーズ・ミラクル

カードマジック大事典
p.554

ジェリー・アンドラスの原案が解説されています。この本では「マイザーズ・ミラクル」をカードマジックとして分類しています。

3ページにわたる解説ですが、ちょっと文章だけでは理解しにくいかもしれません。3枚の写真が添えられているものの、1・2枚目のコインが出てくる瞬間、3枚目のコインが出てくる瞬間、4枚目のコインが出てくる瞬間という3枚の写真ですので、そこに至る重要なハンドリングについては文章のみで理解する必要があります。といっても難しいことはしていませんので、ネットでご本人の実演映像を見てから読めば理解は容易です。(2022.06.12)

守銭奴の奇跡
〜Misers Miracle〜

コイン・マジックへの誘い
p.173

氣賀康夫氏による改案です。ジェリー・アンドラスの原案には不満な箇所は全く見当たらない、と前置きして、原案を尊重しながら工夫を施した作品です。

基本的な流れば原案と同じです。著者は「わずかな追加的工夫」として解説していますが、この小さな工夫が非常に効果的に原案の良いところを引き出しています。カードから1ドルコインが出てくるという現象を2回続けるところまでは原案と同じ印象です。しかし3枚目のコインは半分に破いたカードから出てくるという現象なので、それに合わせてハーフダラーが出てきます。だからこそ、さらに半分に破いたカードから出てくる最後のクライマックスでは、小さなクォーターが出てくるような期待をするため、観客はより集中して手元を見ることになります。そんな流れを作るからこそエンディングの最後のコインの見せ方がより効果的に表現できるようになっています。(2022.06.19)