garamanのマジック研究室

Spellbound

1枚のコインをマジシャンが一瞬のうちに別のコインに変えてしまいます。

その現象は、マジシャンによって様々です。何度も何度も変え続けたり、変えたり戻したりしている間にいつのまにかコインが大きくなっていたり、スピードにこだわって一瞬で変化させたり、、、。ここでは、コインが連続変化を起こす現象を扱ったトリックは「スペルバウンド現象」としてまとめて紹介します。

DAI VERNON'S "SPELLBOUND" (Dai Vernon)

STARS OF MAGIC (日本語版)
p.35

ダイ・バーノンが長年大切にしていた名作です。まず、手順の中で使用される技法について簡単な説明があります。この技法さえ覚えてしまえば Spellbound の手順は比較的簡単に覚えられると思います。ただし、この演技を見た人を文字通り「呪縛(Spellbound)」にかけるようなことは、相当困難です。簡単な手順であるからこそ、ほんのわずかな怪しい動作も許されません。バーノンの教えである"Be Natural"(自然であれ)を実践することが最も重要です。

「マジシャンが何かやったらコインが変わった」と思われたら、Spellbound としては失敗です。「怪しいことは一切していないのにコインが変わった」と感じてもらえて初めて Spellbound になるわけです。

私はこの手順をまだ一度も人前で演じたことがありません。妻にさえ見せたことがありません。手順は解説の通りに出来ていますが、何かが違うような気がしています。本当の Spellbound に仕上がるまでは、地道に練習をしていくつもりです。恐らく初めてテレビで見た誰かの演技が悪いイメージで残っているのでしょう。それと同じような演技はしたくないのです。

このマジックのタイトルが「Changing Coin」だったら、ここまでこだわることも無く、本を読んだ次の日には人前で演じていたかもしれません。でも、タイトルは「Spellbound」です。バーノンに敬意を表して、このマジックにはこだわりを持ち続けようと思います。(気がつけば、私がバーノンの呪縛にかかっているようです。。。)(2004.08.22)

スペルバウンド - コインの連続変化

遊びの冒険 全5巻
「5 とっておきクロースアップ・マジック」 p.124

クロースアップマジックの一つとして、松田道弘氏によって解説されています。松田氏の解説によると、「Spellbound」の原型はエドワード・ビクターの「チェンジング・コイン」だと言われているそうです。この本では、8ページに渡って「チェンジング・コイン」の解説をしています。この本と STARS OF MAGIC の解説を見比べて、バーノンがどこにどんな工夫を加えたのかを調べてみると、色々と発見があります。

解説の最後に、松田氏の個人的な意見として「スペルバウンドの手順を考えるときは、出来るだけ手順を短くするのが効果的である」という事をおっしゃっています。私も全く同感です。(2004.08.22)

スペルバウンド

世界のコインマジック
p.101

スペルバンドの様々なバリエーションを、まとめて解説してあります。スペルバウンド現象を扱った様々なバリエーションをまとめて知ることが出来る最高の本です。ここでは、詳細な説明は出来ませんので、紹介されているタイトルと考案者名をご紹介しましょう。

瞬くうちに
In a Twinkling
ウェスリー・ジェイムス
Wesley James
「指先をコインに軽く触れただけで、カラー・チェンジ現象を目の前で起こすことが出来るか?」というウェスリー・ジェームスが提起したプロブレムに対する彼自身の解決案です。
叩いてチェンジ その1
Touch Change One
リチャード・カウフマン
Richard Kaufman
前述のウェスリーのプロブレムに対するリチャードの案1。
叩いてチェンジ その2
Touch Change Two
リチャード・カウフマン
Richard Kaufman
前述のウェスリーのプロブレムに対するリチャードの案2。
叩いてチェンジ その3
Touch Change Tree
ジェフリー・ラター
Geoffrey Latta
左手の指先に持ったコインを右手の指先で叩いた瞬間にコインが変化する、ジェフリー・ラターの方法です。
スペルメル・バウンド
Spellmell Bound
リチャード・カウフマン
Richard Kaufman
リチャード・カウフマンがデビッド・ロスに独特なスペルバウンドを見せてもらったときに同様の現象を起こせるように考えたリチャード流の手順です。(デビッドは自分の手順をリチャードに教えましたが、発表することは許可しなかったそうです。)
紆余曲折
Twisting With Victor
ウェスリー・ジェームス
Wesley James
スペルバウンドを色々と演じていると、ある不都合な場面に出くわすことがあります。(詳しく書けないのがもどかしい、、、)そんな問題を解決してスムーズに手順を続ける為の案です。エドワード・ビクター(Edword Victor)の技法を元にしているそうです。
瞬間のチェンジ
The Inertia Change
トム・ガニオン
Tom Gagnon
スピードにこだわった、トム・ガニオンによる手順です。クロースアップ・マットとあるものが必要です。
おはじきチェンジ
The Tiddlywinks Change
トム・ガニオン
Tom Gagnon
伏せたグラスの中でコインが瞬間的に変化する、トム・ガニオンによる手順です。グラスとクロースアップ・マットとあるものが必要です。
回転チェンジ
Spin to Win
マーク・レィビー
Mark Levy
テーブルの上で回転させたコインを右手の平で叩いて止めます。その瞬間にコインが変化してしまう、マーク・レィビーによる手順です。
失敗
Silver Slippage
ブルース・バーコウィツ
Bruse Berkowits
スペルバウンドの手順を知っているマジシャンを相手にして演じるためのマジックです。手順の途中で、マジシャンなら誰でも気がつくような失敗をしたように見せかけて、最後にそれを覆すという面白い手順です。

お気づきのように、この本にはバーノンの手順は解説されていません。この本の読者なら知ってて当然ということなのでしょうか?(2004.08.22)

スペルバウンド

基礎からはじめるコインマジック
p.94

コインのすり替えを行なう最も基本的なテクニックから解説してあります。基本テクニックを組み合わせた面白いルーティーンも詳しく解説されています。

指先に持った銀貨をどのように銅貨に変えるのか。数え切れないほどの方法が考えられ発表されてきましたが、そのどれをとっても「自然に」演じるためには、練習が必要です。こういう簡単なテクニックこそじっくりと時間をかけて習得したいものです。この本では4ページに渡って基本的なテクニックを3種類紹介していますので、まずはじっくりと覚えましょう。

また、その4ページの後には、基本テックニックを組み合わせた面白いルーティーンが紹介されています。基本テクニックを繰り返し(左右両方の手でできるように練習する必要はあります)、コインの連続変化を起こした後、銀貨をポケットにしまいます。ポケットの外側に手を触れると中にあるはずのコインがすり抜けて出てきます。もう一度ポケットにしまいますが、やはり銀貨はポケットをすり抜けます。さらにもう一度繰り返すと、、、クライマックスです(書きませんが)。このルーティーンは5ページにわたって26枚のイラストとともに詳しく解説されていますので、基本テクニック習得のための練習としては良質な教材です。(2008.02.16)

銀貨の彼方に

テクニカルなコインマジック講座
p.155

荒木一郎氏の作品です。タイトルの「銀貨の彼方に」は、作品中のストーリーをもじってつけたものです。

よくある銀貨と銅貨のチェンジではなく、64年のケネディー銀貨とチャイニーズコインのチェンジにすることで、より変化現象にインパクトを与えています。流れとしては2枚のコインの変化現象が数回続いた後、ジャンボコインに変わり、魔法の粉(というのがちょっと残念ですが)をかける事によって小さくなり、やがて銀河の彼方に消えていくという現象です。

いくつかの技法を順に使ってチェンジ現象に変化をつけています。どの技法にもちょっとずつ荒木氏流のこだわりが加えられています。本では最後にジャンボコインを取出すところまでの解説しかありませんが、付属のDVDにはそのジャンボコインを消すまでの演技が収録されています。ただし、消し方については触れられていません。(2013.07.15)

スペルバウンド

コインマジック事典
p.175

誰の手順かは不明ですが、[Stars of Magic] で解説されているダイ・バーノンの手順とほぼ同じです。違う点は最後のシーンで、手に残った1枚のコインをどう処分するかというところ。原案では特に触れていないので、左手に1枚残ってしまいますので、そのあたりの処理は読者にお任せというスタイルでした。[コインマジック事典] では、スッキリした処理の方法を提示してくれています。

3ページにわたる解説で、手順を10ステップに分けてあります。各ステップが簡潔に表現されている上に、対応するイラストが必ず1〜2枚描かれているので、非常に分かりやすいです。(2013.07.20)

EZ-スペル

クロースアップ・マジック コレクション
p.118

言わずと知れた、ゆうきとも氏の代表作のひとつです。難しい技法を使用せず、怪しい動きもなく、3回の変化現象が起こります。チャイニーズコインから始まり、左手に握ると銅貨に変化。さらに指先でなでるだけで銀貨に変わり、最後にはチャイニーズコインに戻ります。たった5・6秒の間に次々と変化するスピーディーな作品ですが、決して慌ただしくはありません。もし、本当の魔法を使い、指先で撫でるだけで変えられるなら、手の動きがゆっくりでもこのくらいの時間で終わることです。この作品はそんな印象を与えられるほど、テクニックを感じさせないクリーンな仕上がりになっています。(2019.03.31)