garamanのマジック研究室

Sympathetic Coins

1枚のハンカチをテーブルに広げ、四隅に1枚ずつのコインを並べます。観客側をA・B、マジシャン側をC・Dとしましょう。マジシャンは両手に1枚ずつ持ったカードでコインを隠しますが、どのコインを隠しても2枚しか隠せませんから、残りの2枚は見えている状態です。観客側の2枚のコインを隠した状態からマジックは始まったとしましょう。A・Bはカードで隠されていて、C・Dは見えています。マジシャンは見えているCを手に取り、ハンカチの下に滑り込ませ、カードで隠されたAの下まで持っていきます。今Aの位置は、カードの下にAコイン、その下にハンカチ、さらにその下にCコインがあります。しかし、指を鳴らすとハンカチの下のCコインはハンカチを通り抜け、Aコインと同じ層にあがってきます。カードをめくるとそこにはA・Cのコインが並んでいます。Dコインも同じようにハンカチの下に滑り込ませ、Aの位置に移動させまますが、やはりハンカチを通り抜け、カードをめくるとそこにはA・C・Dの3枚が並んでいます。今Aの位置には3枚のコイン、Bの位置には1枚のコインがあります。しかしこのBの位置のカードをめくるとそこにBコインは無く、Aの位置のカードをめくるとそこには4枚のコインが揃っています。

THE SYMPATHETIC COINS

THE ART OF MAGIC
p.251

イタリアのマジシャン、Yank Hoe の作品です。現象がわかりやすく、適度なスピードで演じられ、怪しげな手つきの無い、優秀なコインマジックだと思います。この作品を原点として相当な数の改案が発表されていますが、今でもこの原案で充分な反応が得られます。改案が発表されるなかで「コイン・アセンブリ」「コイン・マトリックス」などと色々な名前が付けられて、どの名前も定着していますが、その定義は特に決まっておらず、人によって色々な解釈があるようです。ハッキリしているのはそれらの原点が、この sympathetic coins だという事です。

イラストを1枚添えただけの3ページ半程の解説ですが、これが多くのマジシャンの脳を刺激しました。解説の後、さらに半ページ程を費やしてもう1つの方法を書いています。これはエクストラコインを用いて、よりスピーディーに移動現象を見せるものです。(2014.02.02)

The Sympathetic Coins

MODERN COIN MAGIC
p.197

コインワーカーのバイブルとして名高い [MODERN COIN MAGIC] において、「最高のクロースアップ・コイン・トリックである」と前置きして紹介されています。この時代には既に多くの改案が存在していたはずですが、それでも [THE ART OF MAGIC] の Yank Hoe の手順が一番だとお墨付きを与えて解説しています。エクストラコインを使ったおまけバージョンも同じように解説しています。

イラストは1枚もありませんが、簡潔な解説でわかりやすいです。また、[THE ART OF MAGIC] には無かった的確なアドバイスが散りばめられているのが特徴です。(2014.02.08)

The Sympathetic Coins

MODERN COIN MAGIC
p.282

[MODERN COIN MAGIC] には、もう1つの The Sympathetic Coins が解説されています。Yank Hoe の作品が一番だと書いていたにも関わらず、あえてこの Milton Kort の作品を紹介しているくらいですから、数多くの改案の中でも紹介に値するものだったのでしょう。実際面白い作品です。4枚のコインを使うと言ってポケットから取り出したコインが、3枚はハーフダラーですが、もう1枚がイングリッシュ・ペニーなのです。銀貨3枚に銅貨1枚という状態で演じます。原理を知っている人ならこの1枚の銅貨が混ざる事で「え!?それでやっちゃったらマズい事に。。。」と青ざめてしまうような展開です。しかし、この状態で演じきります。ハンカチの下に入れた銅貨がちゃんとハンカチを通り抜けたときのインパクトは強烈です(初めて見る人にとっては銀貨でも銅貨でも同じですが)。またもう1つの大きな特徴は、コインを隠すカードが1枚だという事です。より不可能性の高い環境で、よりクリーンに見せる作品といえます。

マジシャンを引っ掛けてやろうという感じではなく、より説得力のある作品に仕上げた結果、マジシャンも驚くようなものに仕上がったといったところでしょうか。(2014.02.16)

シンパセティック・コインズ(1)

奇術入門シリーズ コインマジック
p.160

アメリカのマジシャン Duane Dval 氏の作品が解説されています。1枚のハンカチと4枚のコインを使うのは一緒ですが、コインを隠すための2枚のカードを使用しません。代わりにハンカチの四隅を少し内側に折り畳む事でコインを隠します。コインは4枚とも隠れた状態ですし、ハンカチの下に入れる動作もないという、原案とは少し違った印象の作品です。ハンカチの下に手を入れない分、移動現象がわかり易いです。折り返したハンカチの隅をカードの代わりに使ってコインを隠すので、厚手のものである必要がありますが、その点に気をつければ即席に演じられます。

31の箇条書きでの説明で、それぞれの文に対して対応するイラストが添えられていますので、とてもわかり易い解説です。(2014.02.22)

ハンカチを通り抜けるコイン

奇術入門シリーズ コインマジック
p.115

原案とほぼ同じ現象に見えますが、カード1枚で行う分、現象がわかり易くなった作品です。原案では、冒頭でカード2枚を色々なポジションに移動させる動きが必要ですが、そのあたりが何となく怪しまれてしまう事を嫌ったのでしょうか、余計な動きを排除しています。冒頭の余計な動きをなくして、すぐにコインの移動現象を起こせるのは大きな魅力ですし、隠されているのが一カ所だけなので現象がよりスッキリします。ただし、その分エキストラコインが1枚必要になる事や、座った状態でなければならないなど、別な制約が出てきてしまいます。意見が分かれるところではありますが、条件によっては原案より印象の良い作品です。

この本で解説されている作品は全てそうですが、箇条書きのそれぞれの文に対して対応するイラストが添えられていますので、とてもわかり易い解説です。(2014.03.01)

シンパセティック・コインズ(2)

奇術入門シリーズ コインマジック
p.190

誰の改案かはわかりませんでした。原案との違いは、コインをハンカチの下に入れるのではなく、手に持ってバニッシュさせる方法をとっている事です。テクニックで消してカードの下から取り出すという演出が何を意図しているのかは分かりませんが、おそらくハンカチの下に入れる事よりもクリーンな印象を与えられるとの判断ではないかと思います。コインを扱うマジシャンの手つきは、本人が思っている以上に不自然に映るものですので、実際に見た印象がクリーンになるかどうかはアヤシいところですが、演じる人によっては原案よりも「隠していない」印象を与えられるかもしれません。

左手に持ったコインを一度わざとらしく右手に移して、意図的に観客の疑惑を向けるような演出があったりと、全体的にテクニックを見せつけるための作品という印象を与えてしまわないか、心配になる作品です。(2014.04.27)

シンパセティック・コイン

クロースアップ・マジック
p.48

松田道弘氏の工夫というか、やり慣れた手つきが含まれているような手順ですが、原案に近い手順です。どの改案でも、全部で3回のコインの移動があり、初めの2回はハンカチの下から上にすり抜ける現象として演じ、最後の1枚だけはカードの下から別のカードの下への移動になります。この最後の移動の時、松田氏のやり方ではカードの下に右手を差し込み、取り出したコインを一旦左手に握り、右手はカードを取り上げて、左手の握り拳に軽く叩きつけると同時に左手を開き、コインが消えたことを見せています。その後、もう一枚のカードの下に4枚のコインが集まっていることを見せるわけですが、懐かしいというか、ちょっと古めかしさを感じる動きになっています。

作品解説の前にちょっとしたアドバイスがあり、ハーフダラーで演じるのならハンカチは濃い色のものを、10円玉で演じるのなら白いものをすすめています。現象をわかりやすくするため、とのことですが、道具の色にまだこだわる発想は特筆すべきかと思います。ただ、ハーフダラーは別に白くありませんので、どんなコインを使うにしても白いハンカチが無難だとは思います。あまり奇抜な色やデザインものもを使うと、注意がそちらに逸れてしまうでしょうから、清潔な白いハンカチと、借りた100円玉で演じるくらいが丁度良いのではないでしょうか。ところで、10円玉で演じるのなら使用具合によって色がかなり違う事に気をつけてください。借りるよりは自分で用意した方が失敗がないと思います。(2016.08.28)