Bill In Lemon
レモンを切ると中からお札が出てくるという現象です。似た作品に Card In Lemon がありますが、サインさせたカードを取り出すよりも、厳密に連番が振られたお札を取り出す方が理論的に不可能性が高い、というのがメリットでしょうか。逆に、連番を事前に記録しておいて後で一致していることを確認する手順が必要になるため、ちょっと時間がかかりスマートさにかけるという点はデメリットかもしれません。
レモンに飛び込む紙幣
マーク・ウィルソン マジック大百科【クロースアップ・マジック編】
p.469
籠の中の3つのレモンから観客にひとつ選んでもらい、それを紙袋に入れて持っていてもらうところから始まります。ふたり目の観客には1枚の1ドル札を借り封筒に入れますが、入れる前に封筒の表面にお札の番号をメモしておきます。そしてお札入りの封筒はふたり目の観客に持っていてもらいます。これで準備完了、と思いきや、すでにマジックは終わっています。2人目の観客に封筒の中身を確認してもらうと、紙幣ではなくメモが出てきます。そこには「1ドル借り受けました」の文字が。消えたお札を探すべく、ひとり目の観客に紙袋の中からレモンを取り出してもらいます。そしてナイフを渡して観客自身の手でレモンを切ってもらいます。中から出てきた丸まった紙幣を広げると、予め封筒にメモしたものと同じ番号の紙幣であることが確認できます。
観客に紙幣を借りる前にレモンを紙袋に入れ、それ以降一度もレモンに触ることなく、さらには観客自身にレモンを切ってもらうという流れですので、後から考えても不思議が増していくような作品です。とはいえ、準備を丁寧にすれば、決して難しい部類の作品ではありません。ただ、終わった後の濡れて丸まった紙幣を返すのはちょっと品がないので、交換してお返しするための綺麗なお札を用意しておくと良いと思います。(2024.08.04)