garamanのマジック研究室

Book Test

今、テーブルの上に数冊の本が置いてあります。あなたはその内の一冊を選び、好きなページを開きます。そこに書いてある文章を、マジシャンは本を見ることなく読み上げていくのです。

このテーマはマジシャンの心を捉える魅力があるようで、過去、数多くのマジシャンの手によって様々なトリックが考え出されています。

ブック・テスト

遊びの冒険 全5巻
「2 超能力マジックの世界」 p.30

ブック・テストに関する事が、歴史的な背景も含めて紹介されています。原案はホフジンサーだと言われています。この本では、ホフジンサーの方法と、それを飛躍的に発展させたセオドア・アネマンの方法が解説されています。さらに、もっと単純化した手順も考案者不明としながらも、ドクター・ファウスト(デビッド・ホイ)が発表した手順として解説されています。

映画界の異才オーソン・ウェルズがあるアメリカのマジック番組に登場した時に演じたブック・テストについても紹介されています(こちらはやり方の解説はありません)。オーソン・ウェルズが熱心なアマチュアマジシャンだというのを、この本で初めて知り驚きました。(2004.10.24)

ブックテスト -自由選択と思わせるフォーシング・テクニック-

マジック大全
p.38

ホフジンサー、セオドア・アネマン、ドクター・ファウスト(デビッド・ホイ)の方法を解説し、その改案の意義・問題点などを考察するという内容です。どのマジックの改案にも通じる原理を学習することができます。

ブック・テストには欠かせないフォーシングの原理についても4ページを割いて解説されていますので、ブック・テストを本格的に勉強したい人にはお勧めです。(2004.10.24)

ブック・テスト (Book Test)

メンタルマジック事典
p.73

メンタルマジックの用語の一つとして解説されています。ホフジンサー、セオドア・アネマン、ドクター・ファウスト(デビッド・ホイ)の方法に加えて、カール・ファルブスの方法を解説してあります。また、解説の最後に「ブック・テストの主だった参考文献と市販トリック」が載っていますので、市販トリックにも興味がある方は参考になるでしょう。(2004.10.24)

驚くべき雑誌テスト

即席マジック入門事典
p.105

サイ・エンドフィールドの作品に工夫を加えた麦谷真里氏の作品です。数冊の雑誌から観客に任意の一冊を選んでもらい、その雑誌の任意のページに書かれてある内容を読み上げていく、という基本テーマは変わりませんが、即席で行なうために色々と工夫が加えられた結果、若干現象のインパクトは弱まってしまっています。任意の一冊を選んでもらう部分は、ダイレクトで実用的な手法が用いられています。しかし、任意のページを選んでもらう部分の手順が複雑になってしまいました。日本で流通しているコインを数枚と一組のデックを使います。まずはコインの中から任意の1枚を選んでもらい、そこに書かれている元号を西暦に直し、西暦の各桁を合計し、更にその合計数分だけカードをテーブルに配り、その枚数目のカードを覚え、、、といった作業を観客に強いるやり方になっています。ただし、一見欠点に見えるこの作業の長さと複雑さも、しっかりと演出で解決を図っています。複雑な手順を踏むことが「最終的なページ数をランダムに決めるため」という目的に向かっているということをうまく表現する事が肝要です。(2009.03.07)

マイ・ブック・テスト
〜My Book Test〜

テクニカルなメンタルマジック講座
p.51

T.A.ウォーターズの Riffledex という作品を元にした荒木一郎氏の作品です。2冊の本を使います。一冊の本をマジシャンがパラパラとめくっていき、任意の場所でストップの声をかけてもらいます。ストップがかかったページには、一旦しおり代わりの封筒を挟んでおきます。観客には2冊目の本を持ってもらい、封筒を挟んだページと同じページのところを開いてもらい、そのページの行頭のフレーズをスケッチブックに書きとめてもらいます。マジシャンは相手の心を読むようにして、スケッチブックに書かれたフレーズを当ててみせます。ここまでは他の作品と大して変わらない演出ですが、特筆すべきはこの後。一冊目の本に挟んだ封筒を開けると、そのフレーズが予言されたメモが出てくるというオチがついています。

ただし、この演出には違和感を覚える方もいらっしゃるでしょう。予言としてメモを残し事前に封筒に入れておいたのなら、スケッチブックに書かれたフレーズは既に知っていた事になりますから、「相手の心を読むような」演出と相性が悪いのです。2度のクライマックスを用意した事は効果的ですし、既にブック・テストを知っている人を驚かせるには面白いアイディアですが、初めて見る相手には、演出にもう一工夫必要かと思います。

9ページに及ぶ細かいところまで気が配られた丁寧な解説です。また、この作品の解説の前に2ページを費やしてブック・テストの歴史が綴られています。(2009.12.20)

ブック・テスト 2題

60歳からのマジック入門
p.59

タイトル通り、2つの手順が紹介されています。1つ目は準備にお金と時間と手間がかかりますが、その分手順は簡単になっています。5冊の中から1冊の本を観客に自由に選んでもらい、残りの4冊からマジシャンが1冊手に取ります。マジシャンが本のページをぱらぱらとはじいている間に、別の観客にストップと声をかけてもらいます。声にあわせてページをはじく手を止めると、マジシャンはページ数を読み上げます。1人目の観客は自分が持っている本の、読み上げられたページ数のところを開きます。そのページに書かれた最初の熟語を強く念じてもらいます。マジシャンはその念を読み取ると、紙に熟語を書き留めます。1人目の観客が念じた熟語を声に出してもらうと、マジシャンが書きとめた熟語と一致しているという現象です。

解説の中では「諸国」という熟語を例に出していますが、著者はここで「あっという間に、そのものずばりの「諸国」を書いてはいけません」と忠告を入れています。イラストでは「諸」の字の”ごんべん”の部分が郵便局のマークのように、旁の”者”の部分は”吉”になっています。さらに「国」の文字は”くにがまえ”の中が”玉”ではなく、”王”になっています。私(garaman)は、この演出には首を傾げたくなります。「あっという間に書いてはいけない」というのは賛成ですが、あえて存在しない文字を書くのは、観客をバカにしているような気がします。マジシャンが漢字を知らない国の人ならそれが正解だと思いますが、漢字を知っている日本人であるマジシャンが、”くにがまえ”に”王”の字をイメージとして受け取ったのなら、それに近い漢字を考えて、すぐに”国”の字が思い浮かぶからです。大人の観客なら、わざと間違えてると思うのではないでしょうか。この不自然さに気がつかないとは思えません。存在しない文字を書くくらいなら「儲国」のように存在する文字だけで惜しい熟語を書いた方が違和感は少ないと思います。

2つ目の手順として、トニー・コリンダの即席にできるブックテストが解説されています。「事前に、ある条件にあったお札(例では千円札)を用意しておけば、いつでも即席にできる」という「じゃあ、即席じゃないじゃん」と言いたくなる作品ですが(笑)、観客から見ると、その場にあるものだけで実現する、即席メンタル・マジックに見えるはずです。著者は、突然何かやって見せてくれと言われたときに丁度良い、保険のようなマジックと評していますが、アマチュアならそういう場面の方が多いでしょうから、保険といわずペットトリックにしても良いかと思います。(2011.10.23)

ブックテスト

奇術入門シリーズ メンタルマジック
p.116

デビッド・ホイの手順が、三田皓司氏によって解説されています。イラストもなく、たった2ページのそっけない解説ですが、ポイントを抑えた分かりやすい内容です。

メンタルマジックといえば真っ先にブックテストを連想する人も少なくないはずです。非常に興味をそそられるテーマだけに、様々なバリエーションが生み出されていますが、この手順が群を抜いて直線的な解決方法を採っています。この不思議な現象を起こすためのハードルを越えるため、色々な方法が編み出されていますが、それにも副作用があり新たな問題を生み出したりもします。それに比べてデビッド・ホイのアイディアは、(演技力次第ですが)副作用を感じさせずに、軽やかにハードルを越えていきます。

素通りしてしまいそうな程そっけないですが、簡潔にして充分な解説です。(2013.03.17)