garamanのマジック研究室

Color Changing Knife

小さなポケットナイフを使ったマジックです。残念ながら日本ではポケットナイフを持ち歩く習慣がありませんので、あまり普及しない作品ではあります。デザイン次第では代わりにライターを使っても良いところですが、世の中が禁煙の流れになっている現在では、突然取り出すと敬遠される事にもなりかねません。。。

現象はとてもシンプルで、ポケットナイフのグリップの部分の色が次々と変化していくというものです。

折りたたみ式のポケットナイフで刃の部分を収納した状態で演じます。

カラーチェンジングナイフ

クラシック・マジック事典2
p.112

カラー・チェンジング・ナイフ・ルーティーンが2パターン解説されています。執筆者は三輪晴彦(マジェイア)氏です。カラー・チェンジング・ナイフの歴史的背景が1ページ。ナイフの選び方が1ページ。バリエーションを含む8つの技法解説が10ページ!!。その後、一つ目のルーティーン解説が6ページ。2つ目のルーティーン解説が6ページ。さらにおまけのアイディア3ページ。という圧巻のボリュームです。

2つのルーティーンの現象だけ、簡単に記述しておきます。1つ目のルーティーンは [黒いナイフが白に変わる] - [黒に戻る] - [ナイフが消える] - [黒いナイフが上着のポケットから出てくる] - [観客の手の中で赤に変わる] - [ハンカチに包んだナイフがフィンガー・チョコレートに変わる] という流れです。2つ目のルーティーンは [黒いナイフが白くなる] - [テーブルのハンカチの下から黒いナイフを取り出す] - [両手に一本ずつ持ったナイフが入れ替わる] - [マジシャンと観客が一本ずつ持ったナイフが入れ替わり、元に戻る] - [白いナイフを黒く変える] という流れで2本とも黒くなったところで観客が手に持って調べられるような工夫も取り入れています。(2008.10.19)

カラー・チェンジング・ナイフの話

クラシック・マジック入門事典
p.65

カラー・チェンジング・ナイフについての麦谷氏のオリジナル手順とナイフの入手経路に関する面白い話が載っています。基本的な手順や技法についての解説は [クラシック・マジック事典2]に譲っていますので、この本だけでは理解できない部分もあるでしょう。

この主のマジックに最適なナイフを入手するのは比較的難しいのですが、最も品揃えの豊富なショップが紹介されています。ショップのサイトを覗いてみると写真を添えて圧倒的な種類のナイフを取り揃えているのが分かります。ナイフの専門店ではなくマジックショップですので、もちろんマジックに使う目的での品揃えです。そのショップのオーナーに関する面白話もありますが、それよりも個人的にお薦めなのは麦谷氏の手順解説です。

「オリジナリティなどありませんが、」という控えめな一言から始まる解説ですが、ストーリー構成と現象がマッチした素晴らしい手順だと思います。ストーリーと使用するナイフ、クライマックスの現象に特徴がある作品ですので、ここでは説明しません。麦谷氏の手順は5ページほどにわたって詳細に解説されており、ナイフ周辺にまつわる話が別に3ページほど書かれています。(2009.05.17)

回文ルーティン

ホァン・タマリッツ カードマジック
p.323

ホァン・タマリッツの個性的で完成されたルーティンです。原題のタイトルは [Capicúa Routine]。"Capicúa (カピクア)" はスペイン語で "回文" を意味します。

3本のナイフを観客に預かってもらい、演技中に1本ずつマジシャンに渡してもらう役をお願いします。道具を観客に預けてしまうことで、これ以上ないほどのクリーンな印象を与えています。まずは1本のナイフを受け取って小さなトリックを演じ、もう1本受け取って2本のナイフで交換現象を演じ、さらにもう1本受け取って3本のナイフでカラーチェンジ現象を見せます。観客の手から受け取った仕掛けのないナイフで、徐々に派手な現象を起こしていくのは、観客の心を惹きつけます。

その後、今度は1本戻して2本の演技に移ります。観客とマジシャンが1本ずつ違う色のナイフを持ち、お互いのナイフの色がビジュアルに入れ替わります。さらに1本戻して、残りの1本でちょっとした消失と出現マジックを見せて、観客に返します。これで、始めと同じように観客の手には3本のナイフがある状態に戻り、回文ルーティンの完成です。

1本ずつ本数が増えていき、ピークを迎えた後に1本ずつ減って始めの状態に戻っていくという構成の面白さはもちろんですが、観客の手にある状態から始まり、観客の手に戻して終わるというクリーンさが素晴らしいです。また、小さなトリックで始め、観客の驚きが徐々に大きくなっていき、最後は少しリラックするできるような内容で楽しく終わることができるのも、タマリッツらしさが出ていると思います。(2017.11.12)