Paper Cone and Coin
マジシャンはグラスを一つ持ち出し、テーブルに伏せて置きます。そのグラスを新聞紙で上からすっぽりと包み込み、コーンの形にします。(新聞紙で包んだ状態のグラスを、便宜上「ペーパーコーン」と呼ぶことにします。)観客から1枚のコインを借り受け、テーブルの上に置き、その上にペーパーコーンをかぶせます。マジシャンは、この状態からペーパーコーンの下のコインを消すと言います。念のため、消す直前のコインを確かめるべく、一度だけペーパーコーンを持ち上げてみますが、この時点では確かにコインはペーパーコーンの下にあるようです。改めてペーパーコーンをコインの上にかぶせなおした、次の瞬間!!マジシャンは右手をペーパーコーンに叩きつけます。すると、グラスの形をしていたペーパーコーンがくしゃくしゃに潰れてしまいます。コインを消すはずが、ペーパーコーンの中のグラスが消えてしまったようです。
このテーマは古くから存在するもので、過去に数多くのバリエーションが考え出されました。道具はグラスと新聞紙に限らず、新聞紙の代わりにペーパーナプキン、グラスの代わりにソルトシェーカーや胡椒瓶などが用いられる事もあります。
ペーパー・コーンの中で消えるコイン
クロースアップ・マジック事典
p.74
基本的な原理として、コインを消すというストーリーの中でグラスを消すところまでが、解説されています。また、J.N.ヒリヤードの「一度コインを確認するためにペーパーコーンを持ち上げた時に、コーンの中にまだ、グラスがあることを確認する工夫」についても、紹介されています。さらには、チャーリー・ミラーによる「立ったままで演じるためのルーティーン」も解説されています。全体を通してイラストは1枚しかありませんが、解説だけで充分に理解できるしょう。
最後には、ペーパー・ナプキンをきれいにグラスに巻きつける方法まで、アドバイスされています。(2005.03.13)
テーブルを通り抜ける胡椒瓶
即席マジック入門事典
p.149
胡椒瓶とペーパー・ナプキンを使用した手順です。表向きのコインの上に故障瓶を乗せた状態で、手を触れずにコインを裏返すというストーリーの中で、突然胡椒瓶がテーブルを貫通します。
8枚のイラストで分かりやすく解説してありますので、解説は簡単に理解できることでしょう。最後の2ページでは、ありがちなQ&Aを載せた【デバッグ】のページと、「もう一回見せて、と言われたとき」「ナプキンが破れてしまったとき」など5つのシチュエーションについて回避策を解説した【バックアップ】のページがあり、読者に優しい解説です。(2005.03.13)
コップを消す
マジック大全
p.178
[第3部 ルーティーンはコンビネーション]-[第1章プロットでだませ]の中で、素晴らしいミスディレクションの一例として解説しています。トリックの解説としては基本的な部分だけですが、ミスディレクションの効果によって一級のマジックに仕立て上げられている事が良く分かる内容です。(2005.03.13)
パッシング・スルー
大魔法使いアラカザールマジックの秘密
p.4
この本は、台詞やプレゼンテーションの大切さなど、マジックを演じる上での重要な要素を丁寧に解説してある本です。そんな本の第1章が、「ミスディレクション」についての解説であり、解説のための模範的なトリックとして、Paper Cone and Coin が採用されています。解説文は、小学生くらいでも理解できるように書かれていますが、中級以上の方が読んでも参考になる内容です。ミスディレクションの解説の締めくくりとして、8つのコツについてまとめられています。(2005.03.13)
GLASS GO
SELF-WORKING COIN MAGIC
p.29
2枚のコインとグラスを使った作品です。2枚のコインのうち1枚を消すところから始まるものの、そのトリックは観客にすぐにバレてしまうようなものです。でも、だからこそ強力なミスディレクションが働き、その間にグラスがテーブルを貫通するための準備を行います。ミスディレクションの定番として紹介されているだけあって、洗練されたアイディアだと思います。ミスディレクションを利用してグラスを貫通させる原理は他のアイディアと一緒ですが、手順解説の最後には、著者が演じているという別のアイディアも紹介されています。グラスが貫通するのではなく、コーヒーカップに変わってしまうという、オリジナリティーのあるアイディアです。(2020.06.20)