garamanのマジック研究室

Ring Flight

観客から指輪を借ります。指輪にはそれぞれの思いが込められているものです。それを一度持ち主の手から借りるわけですから、持ち主やマジシャンはもとより、見ている観客たちにもちょっとドキドキさせるものがあります。何が始まるのかと不安そうに見守られる中、突然指輪が消失します。両手を改めても何もありません。

その後、マジシャンはズボンの後ろポケットからキー・ホルダーを取り出し中を見せます。すると、そこには消えた指輪がぶら下がっているのです。

アル・コーランの代表作です。

指輪の消失

スーパークロースアップマジック 前田知洋 奇跡の指先
Disk1/Chapter8

日本テレビのアナウンサーを観客に迎えての演技です。トリックの解説はありませんが、複数のアングルから実演を見ることができます。リング・フライトには様々なバリエーションがありますが、これは原案に近いオーソドックスな原理が使われています。

借りた指輪を紙に包む演出は、消える瞬間をごまかすためではなく、観客への心遣いだと思います。自分の手を離れてちょっと不安になる心理を考えると、いきなり消してしまうと、不思議さよりも不安が増すのではないでしょうか。そう考えると、前田氏が演じているように「傷がつくといけませんから。。。」と言って紙で包む事で、一度不安を軽減させる効果があり、その分、消えたときには不思議さだけを味わえるのではないでしょうか。上品に丁寧に演じられているのは前田氏の元々の個性ではありますが、特にリング・フライトは、お客さんの大切なものをお借りしているわけですからこの位の気遣いはしておきたいところです。

キー・ホルダーから取り出す時にも細心の注意を払って丁寧に扱っています。「不可能性の追求よりも、観客への心遣い」。勉強になります。(2011.11.20)