Forgery
小切手の偽造、という随分とブラックなテーマの作品です。
一組のデックを小切手帳に見立てて、そのうちの一枚にサイン代わりに大きく「X」マークを書きます。この「X」マークはカードの表面のした半分程度に、油性マジックで書かれ、もう消す事はできません。(以降、カードを小切手、「X」マークをサインと書きます。)
小切手へのサインが済んだら、マジシャンはまず、小切手のサインを別の小切手に移す方法のデモンストレーションを行います。方法は至って簡単。サインの書かれた面を、別の小切手に擦り付けるだけです。別の小切手にサインが移りますので、元の小切手にはサインはありません。ただし、この状況をサインした張本人に見つかってしまうと困ります。そんなときは、別の小切手に移ったサインを、元の小切手に擦り付けて、元に戻してしまいます。もちろん、サインは元の小切手にしかありません。しかし、これではただ移動しているだけですので、偽造としてはいまいちです。複製ができてこそ偽造は威力を発揮しますので、今度は複製にチャレンジです。元の小切手にサインが戻った状態ですので、小切手の下半分にサインが書かれている状況です。ここで小切手を半分に破り、サインのある側とない側に分けてしまいます。サインを挟むように2枚を重ねて数秒待つと、サインがなかった方の側に、はっきりとサインが複製されています。
素晴らしい作品ですが、あまり演じている人を見かけないような気もします。ジェイ・サンキー本人がまだ若い頃に、日本のテレビ番組に出演した時、Airtight と共に演じていました。また、2012年6月には前田知洋氏も某テレビ番組で演じておられましたが、いずれも観客の反応は群を抜いていました。
小切手の偽造、教えます。
〜 Forgery 〜
ジェイ・サンキー センセーショナルなクロースアップ・マジック
p.21
ジェイ・サンキー、本人の作品です。これは、1983年に、奇術専門誌「Richard's Almanac」のジェイ・サンキー特集号が発行されたとき、評判の良かった作品を、本人がさらに磨き上げた手順です。
さほど難しいテクニックを使う事もなく、これだけのインパクトを生み出すというのは、まさに天才です。4ページ・8枚のイラストでの解説が親切すぎると感じるほど、手順はシンプルです。(2012.07.08)