Highland Hop
マジシャンは良く混ぜられたカードを赤と黒に分けていきます。表が見える状態で分けていきますので、その最中にあなたは赤いカードの中から一枚のカードを心に決めておきます。分け終わったカードの黒い方がテーブルにリボンスプレッドされます。当然ですが黒いカードしかありません。赤いパケットの方を確認すると(これも当然ですが)全て赤いカードで、あなたが心に決めたカードも入っています。赤いパケットを揃えて表向きにテーブルに置き、黒いカードも揃えて少し離れた場所に表向きに置きます。この状態から、手を触れずにあなたのカードだけを、黒いパケットに移動させてしまいます。
ロン・ウィルソンの名作の1つです。
ハイランド・ホップ
〜 The Highland Hop 〜
ロン・ウィルソン プロフェッショナルマジック
p.24
ロン・ウィルソン氏のマジックを25作品収録しているこの本の中で、最初に解説される作品が、この「The Highland Hop」です。ノーマルデックでここまでクリーンに見せられる作品も珍しいのではないでしょうか。カードの移動現象はいくつも発表されていますが、この作品は「ノーマルデックで」「観客の選んだカードを移動させる」という基本テーマを【終始、表向きで】行います。
発表されたのは1968年と古いですが、アカデミー・オブ・マジカル・アーツより最優秀作品賞を授与された名作です。今演じても、まったく古さを感じさせない作品です。
6ページにわたって親切に解説されている上、難しいテクニックは使いません。さらに本人の実演写真が9枚添えられているので、内容の理解は容易です。実際に演じるためのアドバイスもあり、これ以上ないほどの解説です。(2012.03.25)
ロサンジェルス・ホップ
〜 The Los Angels Hop 〜
ラリー・ジェニングス カードマジック
p.127
ロン・ウィルソンの「The Highland Hop」で使われる大胆な技法に触発されて、ラリー・ジェニングスが考案した作品です。赤と黒に分けるという作業はバッサリと削除されています。原案では、移動現象を際立たせるために赤と黒に分けていたものと考えられますが、ジェニングスは5枚のカードから残りのパケットへの移動現象として構成しなおしたことで、時間のかかる色分け作業を省略しています。また、終始表向きで行う事に拘った原案に対して、5枚以外は表を見せない形になっています。原案ほど時間もかからず、見た目にはスッキリとした印象です。
ただ解説文には多少矛盾があります。1枚のカードを選んでもらったとき、できればサインをしてもらうと書いてありますが、その後、「5枚のカードを1枚ずつお見せしますが、その中に覚えたカードがあったとしても表情に出さないでください」などという台詞が出てきます。この台詞を使いたければ、サインはしてもらわない方が良いでしょう。しかし、カードの移動現象を見せる以上、同じカードが2枚存在する可能性を否定する意味でもサインはしてもらいたいところです。やはり、解説文の台詞は使わず演出を考えてみるもの面白いかもしれません。
5ページにわたる6枚のイラストを添えての解説です。(2012.03.31)
ハイランド・ホップ
カードマジック大事典
p.217
ロン・ウィルソンの「The Highland Hop」の原案の手順です。ロン・ウィルソン プロフェッショナルマジックで解説されているものと基本的には同じです。
ロン・ウィルソン プロフェッショナルマジックの解説は、細かな点でのアドバイスが満載で、ロン・ウィルソンらしい配慮を感じますが、カードマジック大事典の方は、あくまで事典という事もあり、必要最小限の解説といった印象です。しかし、説明不足なわけではなくポイントはしっかりと抑えてありますので、書いてある通りにやればできます。むしろ、ひとつひとつの動作について、その理由を考えながら練習する事で、より深く理解できるでしょう。
2ページ程のボリュームで7枚の写真を添えての解説です。(2015.07.05)