Slow Motion Four Aces
スペードのAをマジシャンの前に置き、残りの4枚は観客に近い側に並べます(その形からTフォーメーションと呼ばれます)。それぞれのAの上に3枚ずつ別のカードを乗せます。4つのパケットの下にはAがあるはずですが、1つのパケットを取り上げて表を確認するとAが消えています。マジシャンの近くにあるパケット(これをマスターパケットと呼びます)を見ると、そこにはAが2枚あります。観客側のもう1つのパケットを確認すると、そこからもAが消えています。マスターパケットをもう一度確認すると、なぜかAが3枚になっています。最後のパケットを拾い上げて確認すると、やっぱりAが消えており、マスターパケットに4枚のAが集まっています。
数ある Four Ace Assembly の中でも、1枚ずつ移動していく様子をゆっくりと見せられるこの作品はインパクト絶大でした。多くのマジシャンがこの作品に触発されたようです。
ダイ・バーノンの名作です。
スローモーション4A
カードマジック大事典
p.413
[Stars of Magic] に発表された、ダイ・バーノンの手順です。[Stars of Magic] では2つの方法が掲載されていますが、そのうちの1つ目の方法が取り上げられています。
レギュラーデックで、準備も無く始められるのが大きな特徴です。それでいて、これだけの現象を起こすのですから、ある程度の技法は必要になります。と言うと高度な技法を連発しそうに聞こえますが、ブレークとパーム程度で実現できるとしたらどうでしょう。観客から見た現象に対して無駄な動作もなく、技法の無駄使いをすることもない、バーノンらしい効率的な作品です。
イラストも無く2ページ程のボリュームですが、11項目の箇条書きで簡潔に解説されているので、理解に支障はないでしょう。(2020.08.24)
SLOW-MOTION FOUR ACES
STARS OF MAGIC (日本語版)
p.106
ダイ・バーノンの手順が2つ掲載されています。1つ目の手順は [カードマジック大事典]に、より分かりやすく解説されていますので、そちらの方が分かりやすいでしょう。
1つ目の手順は、1枚の余分のカードを利用することで演じやすく工夫されています。それに対して2つ目の手順では、技術レベルは若干上がるものの、余分なカードを使用せずに現象を達成しています。つまり、演じ終えた時点では、12枚のカードと4枚のエースがクリーンな状態でテーブルに乗っており、観客に手にとってもらっても差し支えない状況を作ることができます。1つ目の手順を知っている人を相手にしても、2つ目の方法を演じれば充分に楽しんでもらえるでしょう。中級以上の方なら挑戦するべき名手順だと思います。
この本は全体的に言葉の意味がわかりにくいところがあり、この手順も理解しにくい部分が多々あります。イラストを添えてある部分は問題ありませんが、それでもなおわかりにくい部分があります。ただ、今ではネット上にいろいろな動画がアップされていますので、この作品の類似手順を演じている人を見つけるのは難しくありません。それらを活用しながら読み進めることをお勧めします。(2020.08.30)
Slow Motion Aces
ヴァーノン・リベレーションズ 1&2巻 日本語字幕版
演技 : Chapter28
解説 : Chapter29〜35
スティーブ・フリーマンが一般客2人を相手に実演している様子が収録されています。[Stars of Magic] に掲載された2つ目の手順に近いですが、一部、独自のハンドリングが含まれており、現象のわかりやすさに気を使っているように見受けられました。収録スタジオの風景に戻り、マイケル・アマー、スティーブ・フリーマン、ゲイリー・オーレットの3人が、ダイ・バーノンを囲んで教えを乞いながら、議論を深めていきます。その過程でバーノンも実演を行いますが、[Stars of Magic] に掲載された2つ目の手順がさらに洗練されたような内容です。マジシャン相手に解説しながらの演技なので多少雑な手つきではありますが、これを一般客相手に丁寧に演じたとしたら、これ以上ないほどの自然さで現象を起こせるでしょう。あやしさを感じさせないナチュラルな動きだけで、エキストラカードも使用せずにこの現象を達成できます。
バーノンの演技にはとても実用的な技法が取り入れられており、スティーブ・フリーマンの求めに応じて、詳しく解説してくれます。他の作品にも取り入れられそうな実用的な技法ですが、名前はつけていないそうで、チャプターにも「The Force with No Name」というタイトルがついています。(2020.09.06)
私案スローモーション・フォア・エース
松田道弘のクロースアップ・カードマジック
p.169
バーノンの手順に対して気になる2箇所(後年、バーノン本人が改案を出して解決している)について手を加えた、松田道弘氏による改案です。ひとつ目は、すでに見えるところに置いてある4枚のエースを取り上げて、一旦デックの上に重ねて、改めて4枚のエースを見せている点。技法の都合でしかなく、観客の目線では不要な動きであることが気になります。ふたつ目は、後半のパームは(自然に見せるのは)難しいという点。クライマックス直前で最も観客の注意を集めているときなので、ここは少しでも不自然さを残したく無いところです。
この2箇所について果敢に挑戦した改案ではありますが、ひとつ目のポイントについては回避できたものの、一時的に3枚を1枚のように見せなければならないという難しさが生まれてしまいました。松田氏本人も「ある箇所のキズをなおせば別のところに新しいキズが生じるというジレンマが…」とコメントを添えています。ふたつ目のポイントは面白い試みです。パームを一切使用しない方法が取られています。たくさんのマジシャンが多くの改案を発表していますが、パームを使用しないものは少ないのではないでしょうか。ただ、この改案も残念ながら不自然な(あまりマジシャンがやらないような)カードの持ち方をするので、それだけで敬遠する方もいるかと思います。
このテーマについて改案を作り上げるときの、発想の途中を見ているような高揚感があり興味深く読めましたが、3枚のカードを1枚のように見せる動きは私にはできませんでした。何より、流石に観客は1枚でないことに気がつくのではないかという疑念が拭えません。「3枚のカードを1枚のようにテーブルにおくコツは文章で説明しにくいのです」と態々添えているところからも、ご本人の演技を直接見たら考えが変わるのかもしれませんが、文章で理解した限りでは実演するのは難しい印象でした。しかし11ページにわたる解説は必見です。自身の改案手順だけではなく、[Stars of Magic] に発表するよりも前のバーノンの作品についての言及や、他のマジシャンたちが改案を発表した雑誌や本などの情報が散りばめられており、貴重な情報が得られます。(2020.09.13)
スローモーション・ジョーカー・アセンブリ
松田道弘のカードマジック 改訂新版
p.96
3回連続してエースを移動させるという難しいテーマに魅せられつつも、観客の目線では同じ現象の繰り返しであることを喝破し、それをどうにか改善しようと考えるマジシャンも多くいます。デレック・ディングルはフェイクカードを使ったアイディアを発表していますが、その作品は非常に手が混んでいて、思わぬところで違うマークのエースが顔を出すようなミスを起こしかねないと、松田道弘氏は言います。そこで、エースの代わりにジョーカーを使って新しい作品を発表しました。「クラブのエース」というような特定の1枚が移動する現象に比べて、4枚もあるジョーカーのうちの1枚が移動する現象になるので、パズル的要素というか難しさの印象は減りますが、その分現象はわかりやすくなっています。原案のコンセプトを損なわない範囲での大胆な発想の転換です。
デレック・ディングルの作品の発想が根底にあるため、フェイクカードを1枚使用する作品です。それに加えて、エースではなくジョーカーを使うことが功を奏して、演じる上での難易度が下がっています。マジシャン同士が不可能への挑戦を繰り広げる中で生まれてくる作品の中には、本人しか実演できないようなテクニックを使用するものもあります。それに比べてこの松田氏の作品は、誰でも演じられるような難易度に下げています。この手順しか知らない人なら、スローモーション・フォー・エースは初心者向けの易しいマジックだと勘違いするかもしれません。(2020.09.19)
Slow Motion Aces
FAVORITES
演技 : Title1/Chapter4
解説 : Title1/Chapter9
[Stars of Magic] の2つ目の手順を基にした、ロベルト・ジョビーの実演と解説が収録されています。Slow Motion Four Aces は、改案が無数に存在する割には映像で見る機会が少ないような気もしますので、ベテランの安定した演技が見られるのは勉強になります。
タイトルに反して4枚のクイーンを使っていますが、それに合ったストーリーを語りながら進めることで、途中でテクニックを要する部分の動きに自然な理由づけができています。バーノンが表現しようとした現象を損なわない程度に、細かな工夫がみられます。バーノンの作品やその考え方への敬意を感じられる演技です。
研究家らしく、非常に細かいところまで気を使った手順に練り上げられています。そのすべてをひとつひとつ解説する徹底ぶりで、演技時間6分に対して解説は30分に及びます。(2020.09.26)
Saturday Aces
カードマジック事典
p.269
ニック・トロストの改案です。[Stars of Magic] の1つ目の方法を基にしていると思われます。単純化されているので、基本的なテクニックを身につけていればすぐに実演できるような作品です。その基本的なテクニックとしてパームが求められるので、他の改案を探される人もいるかもしれませんが。
[Stars of Magic] の1つ目の方法では1枚の余分なカードを活用していますが、これはおそらくバーノンのバランス感覚で生まれた手順です。というのも1枚も余分なカードを使わずに実現する方法を同時に発表しているからです。余分なカードを使わない方法は、最後に観客にあらためられても問題がないので、完成度の高い作品と言えるでしょう。でも実演するのが難しくなります。そこで、あらためられると困るという点を受容することで、余分なカードを1枚だけ導入して実演しやすくするという実用的な解決策を提示したのだろうと思うのです。
ニック・トロストはさらにもう1枚の余分なカードを導入することによって、シンプルな手順を発表しました。演じる視点ではシンプルになっています。余分な1枚を使うなら2枚使ってもマイナス面はさほど変わらないと捉えるか、1枚でも少ない方が良いと思うかは意見が分かれるところかもしれません。(2020.10.03)
スローモーション・エース・トリック
奇術入門シリーズ カードマジック
p.173
ニック・トロストの改案です。さらなる単純化を目指して、技法を限りなく減らした作品です。もはや技法らしい技法は必要ないと言っても過言ではありません。(バックルは使いますが)
技術的に簡単になったことの副作用として、余分なカードが2枚必要です。16枚で演じているように見せておきながら、途中で2枚をこっそり加えて実は18枚で演じるというのは、余分な2枚に気づかれるのではないかと不安にもなりますし、最後にはなんとかして余分な2枚をどこかに処理したくなるものです。この作品でもその不安は抱えたまま進行するわけですが、難しい技法を使わない分、丁寧な演技を心がける方に集中できると思います。また、余分な2枚のカードを何処かに片付けるのではなく、全部で18枚のまま演技を終える大胆さも特徴です。
観客が最後に手を伸ばして確認してしまえばトリックの一部はすぐに露呈してしまいます。余分な2枚のカードを取り除いていないので、調べられたら終わり、という不安はあるものの、この作品の最後の4枚のAのディスプレー方法は、なんとなく観客が手を伸ばしにくい雰囲気にすることに一役買っているような気がします。(2020.10.11)
Slowmotion Joker Assembly
夢のクロースアップ・マジック劇場
p.152
松田道弘氏が「松田道弘のカードマジック 改訂新版」で発表した「スローモーション・ジョーカー・アセンブリ」の、本人の手による改案です。
改案のポイントが2つ書かれているのですが、理解できるように書いてしまうと、どちらもトリック・アウトしてしまいそうなのでやめておきます。観客からの印象は前作と今作ではあまり変わらないような気はしますが、それでもジョーカーの位置関係は前作よりもわかりやすく表現されていると思われます。ということはそれらが集まるという現象もより不思議さが増していることになります。わずかな印象を改善することにも惜しみなくアイディアを投入する姿勢はさすがです。難しいテクニックという程ではありませんが、カードを慎重に扱わなければいけない場面が散見されるので、実演するには手順をしっかりと体に染み込ませておく必要がありそうです。(2020.10.18)
公明正大スローモーション・ジョーカー
現代カードマジックのアイディア
p.166
松田道弘氏による改案です。「松田道弘のクロースアップ・カードマジック」で発表した「私案スローモーション・フォア・エース」には「パームをしなくてもいいエース・アセンブリ」というサブタイトルが付いていました。その後に発表されたこの改案では、変則的なパームが復活しています。原案のパームよりも難易度が上がっていると思われます。
それでも発表したこの手順では、一体何にチャレンジしたのでしょうか。それは、1枚ずつAが移動してくるマスターパケットを、その都度公明正大に見せられないか、ということでした。観客としてはもっとも気になるポイントのはずです。ここがより良くなら、技法レベルが上がることを許容するのも選択肢のひとつでしょう。特に1枚目のカードの移動後、マスターパケットにAが2枚とそれ以外のカードが2しか存在しないことを、ここまでハッキリと示せるなら説得力は秀逸です。2枚目が移動して3枚のAが集まった時にも公明正大に示せます。最後のカードの移動後、最終的にマスターパケットが4枚とも全てAであることを見せるときだけ、若干後ろめたい状況になりますが、それまでの見せ方に説得力があるので、(マジシャンの技量次第ですが)疑われにくい状況にはなっていると思います。(2020.10.24)
スローモーション・フォア・エーセスの地獄
現代カードマジックのテクニック
p.174
松田道弘氏による改案です。「Slow Motion Four Aces は、スローすぎる」ということに気がついた (?) 松田道弘氏が、スピードアップを意識した改案を発表しています。「現代カードマジックのアイディア」で発表した前作「公明正大スローモーション・ジョーカー」では、1枚の余分なカードを効率的に活用して公明正大に見せる工夫をしていましたが、この作品では余分なカードを使っていないことが特徴です。さらに、はじめから4枚のAを表向きにテーブルに並べてしまうことで、よりクリーンに現象を表現しつつ、時間の短縮も図っています。
難易度は上がったと思います。「松田道弘のクロースアップ・カードマジック」で「バーノンの作品には2つの傷がある、その一つが後半のパームだ」と言っておきながら、この改案ではもっと怪しげなパームを採用しています。イラストを見ても不自然な手つきに見えます。「次の技法の説明は正直いって憂鬱です」と前置きされているので、ご本人ならもっと自然なムーブで演技ができるのかもしれませんが、自分でやってみてもどうしても自然な動作にはなりませんでした。イラストのような手つきを目指して練習するので当然ですが...
とはいえ、ギャフ・カードを使わず余分なカードも紛れ込ませずに実現する、というマニアックな趣向を実現するには、これくらいの副作用が出るのは当然とも言えます。マニアックな条件を自分で設けてそれにチャレンジするという、高度なお遊びといった印象を受けました。(2020.10.31)
スローモーション・キングス・アセンブリ
カードマジック THE WAY OF THINKING
p.177
松田道弘氏による改案です。松田道弘のカードマジック 改訂新版で発表した「スローモーション・ジョーカー・アセンブリ」を元にしています。
「スローモーション・ジョーカー・アセンブリ」では、見た目上は4枚のジョーカーと12枚の他のカードという組み合わせでした。4枚のAではなく4枚のジョーカーで演じることにより、見た目の分かりやすさが上がっていましたが、どのジョーカーが移動したのかが分かりにくいという難点もありました。「スローモーション・キングス・アセンブリ」では、見た目上は4枚のKと12枚のブランクカードという組み合わせになっており、さらに分かりやすくなった上に、どのマークのKが移動したのかまでしっかりと見せることができる構成になっています。
特筆すべきは、マスターパケットに対して一切の出し入れをしないことです。2枚目・3枚目・4枚目と、集まるたびにパケットを確認しますが、いつも同じ4枚しか使わずに特定のマークのKが移動してきている様子を見せることができます。しかも全体的に技術的な難易度が低く、演じやすい作品に仕上がっています。(2020.11.08)
Bluff Ace Assembly
Malone Meets Marlo Vol.1
実演 : Disk1/Chapter2
解説 : Disk1/Chapter3
エドワード・マーローの改案が、ビル・マローンによって実演・解説されています。
ギミックカードや、余分なカードを使わず、4枚のAとその他の12枚のカードだけで解決しています。それでいて難しい技法は使っていません。
スペード以外の3枚のAがマスターパケットに集まるところまでは他の改案と同じですが、マーローは最後にもう1枚移動させます。それはマスターパケットにずっとあったスペードのA。「これが最も難しい」と言いつつ、4枚のAが揃ったマスターパケットからスペードのAを抜き出して、観客側のパケットのひとつに差し込みます。そのパケットを観客に手で押さえてもらい、マジシャンは残りの3枚のAをファンに開いて持ちます。5枚のカードを押さえている観客の手に、マジシャンが3枚のエースを叩きつけると、突然スペードのAが現れ4枚のファンになってしまいます。観客が手を退けて確認すると押さえていたカードは4枚になっており、スペードのエースは消えています。
他の改案のほとんどが3回の移動で4枚のエースを1箇所に集めるのに対して、マーローの改案では4回の移動を行います。実は3回目の移動を終えた時点では、全てのカードを改めることができない状況になっているのですが、続けて4枚目の移動現象に続けることで、この不都合を打ち消しています。最終的に非常にクリーンな状況を見せることができます。見事な解決方法です。(2020.11.15)
ブラッフ・エーセス
カードマジック大事典
p.410
エドワード・マーローの改案が解説されています。ビル・マローンが「Malone Meets Marlo Vol.1」で見せた手順と同じです。
マローンの実演との違いは大きく2つあります。ひとつはマローンが左利きであるため、単純に映像から学ぶと左右が逆になって若干練習しにくいというところ。その点、こちらの解説は右利き前提に書かれているので、多くの方には学びやすいかと思います。もうひとつは、最後の4回目の移動の時の見せ方です。トリックの根幹にはまったく違いはありませんが、最後の移動の見せ方は、マローンの方が若干派手です。この部分はおそらくマローンのアイディアであろうと思います。マーローが演じた姿に近いのは大事典の解説の方だと思われます。こちらの方は、最後まで落ち着いた雰囲気で移動現象が続きます。
いずれにしても、最後の1回の移動を付け加えることで証拠を隠滅するという狡猾なアイディアには脱帽です。(2020.11.22)
ゆっくり行う4枚のエースの手順
デレック・ディングル カードマジック
p.173
デレック・ディングルの改案です。Slow Motion Four Aces と McDonald's Aces が融合しています。観客から見た現象で分類する観点から Slow Motion Four Aces に分類しました。
まず、クラブのエースが入ったパケットを取り上げ、クラブのエースが入っていることもしっかりと確認したにもかかわらず、次の瞬間には4枚ともエースではなくなっています。消えたクラブのエースはマスターパケットに移動しています。続いてハートやダイヤのパケットでも同じような手順が繰り返されます。確認したばかりのエースが消えて、マスターパケットに移動するのです。McDonald's Aces のアイディアを基にしているためDFカードを使いますが、2枚だけで実現しています。非常にクリーンな印象を与えることができます。最後に確認するマスターパケットは、ノーマルな4枚のエースだけになっていますので、観客に確認してもらうこともできます。
ちなみに、解説イラストの図1と図2は逆ですのでご注意を。(2021.09.05)
ED MARLO'S ONE-AT-A-TIME ACES
ターベルコース・イン・マジック 第5巻
p.142
エドワード・マーローの作品です。
Classic Four Aces のバリエーションとしてマーローが発表した ED MARLO'S SIMPLEX ACESでも使用されている、シークレット・アディションが使用されています。使われる技法はこれとバックル程度で、比較的易しい作品になっています。最後にマスターパケットの4枚を1枚ずつ確認すると、もちろん4枚ともエースになっているわけですが、その時に余計なカードをうまく処分しています。処分する方法として興味深い解決策ですが、観客からの見た目としては多少違和感を感じる作品です。おそらくこの文章を読んで学ぶ人も、「なぜ?」と思うことでしょう。
最後の違和感については、別なアプローチを考えるか、その見せ方が自然になるようなセリフを考えると良いでしょう。(2021.10.10)
一枚ずつかようフォアエース
ステップアップ・カードマジック
p.31
ターベルコース・イン・マジック 第5巻に掲載されている、エドワード・マーローの作品が元になっています。
マーローの作品で使用されているシークレット・アディションでさえ難しいと判断されたのか、事前にカードの順番を都合よくセットしておくことで易しく始められるように工夫されています。ただし、セットされた7枚のカードを4枚のエースのように取り上げる必要があるので、初心者には心理的にハードルが高いかもしれません。その後の4つのパケットを積み上げていく工程や、エースが1枚ずつ移動していく工程はマーローの作品を踏襲していますが、最後のエース4枚を見せるときの違和感を払拭するために、エースのパケットのハンドリングにはさらに工夫を凝らしています。
マーローの作品では、賢いながらも違和感のある終わり方で、派手な印象を与えます。それに対してこちらの作品では、賢い処理方法で違和感のない終わり方をしていますが、若干派手さは弱くなっていると感じます。お好みで、といったところでしょうか。(2021.10.17)
集合
〜 Umpteenth Aces 〜
パケット・トリック
p.170
マックス・メイビン氏の改案です。ノーマルデックでできる、事前準備も不要な手順です。
エドワード・マーローのシークレット・アディションではなく、J.K.ハートマンのシークレット・サブトラクションを使用します。他にもパケットの扱いに慣れていないと難しく感じる動作がいくつかあり、全くの初心者には高難度に感じるかもしれません。しかし、シークレット・アディション以上の難易度の技法は出てきませんので、パケット・トリックを演じるのが好きな方にとっては、適度、もしくは比較的簡単な部類に入るのではないでしょうか。
英語のタイトルの方は「もう何作品目か分からんくらいのフォー・エース作品」といったような意味でしょうか。(2021.10.23)