Slot Machine
スロットマシーンに見立てた左手にコインを投入し、レバーに見立てたマジック・ウォンドをグッと倒すと、ジャラジャラとコインが増える、そんなエキサイティングな作品です。
原案は、Dr.沢こと、沢浩氏です。
スロットマシン (Slot Machine)
デレック・ディングル カードマジック
p.187
沢氏の原案では最初から高度な技術を要するため、凄い作品であるにもかかわらず実演するには相当ハードルが高いものです。そこで、技法の難易度を下げるべく、デレック・ディングルが改案した手順がこの本で解説されています。難しい技法を避けた分、事前の準備と、演技後の処理に気を使いますが、比較的容易にこの現象を起こせる事を考えると、そのマイナス面も相殺されます。デレック・ディングルは、沢氏から直接この作品を習ったそうなので、きっとそのクライマックスに圧倒されたのでしょう。同じ現象を起こすために、ここまで工夫していることからもそれが伺えます。
また、この手順では鉛筆をレバーに見立てていますが、ここも隠れた工夫だと思います。マジック・ウォンドをレバーに見立てると、ウォンドに何かしらの仕掛けが疑われる事もありますので、この手順のように鉛筆を用いた方が、クリーンに見えて良い効果を発揮しそうです。(2013.01.06)
ホット・スロット (Hot Slot)
世界のコインマジック2
p.190
沢浩氏のオリジナルの流れを損なうことなくハンドリングを容易にした、ジョン・カーニーの改案です(それでも難しいですが)。また、ダイ・バーノンの「5枚のコインとグラス」を取り入れてシャンペン・グラスを使い、ちょっとお洒落な作品に仕上がっています。最後に大当たりして何枚ものコインが出てくるシーンでは、シャンペン・グラスの中に落とす事で、より一層華やかなエンディングになります。
7枚のイラストで、4ページ程の解説です。(2013.01.14)
スロット・マシーン
澤浩の奇術
付属DVD Chapter 10
沢浩氏本人の演技が付属のDVDに収録されています。単にコインが増えて終わるのではなく、4つの絵柄が揃う様子を再現するため、本物のレモンを4つ取出して見せます。名古屋のマジックバー「メンバーズ エルム」主催の[クロースアップマジックフェスティバル]からの映像です。演技の導入部でスロットマシーンの説明をしていますが、ここでさりげなく「チェリーが4つ並んだり、レモンが4つ並ぶとジャックポットになる、、、」といった話をしています。これにより、後半の本物のレモンの取出しがとても分かりやすい流れになっています。
残念ながら、本に作品の解説はありません。(2013.02.09)