garamanのマジック研究室

ヘルダー・ギマレス リフレクションズ

2011年に出版された、ヘルダー・ギマレスの「Reflections」の翻訳です。160ページという若干薄めの本ですが内容は充実しています。扱う分野はカードマジックです。しかし、トリックの解説がメインではなく、1つのトリックを作り上げていく過程に着目しています。実際、解説されている作品は5つしかありません。「現象と手法の分析」「空間の使い方」「3段階のアクト構造」「考案プロセスの1つの型」といった、作品を考案する為のアイディアが、実例とともに次々と披露されており、オリジナルのルーティーンを欲しているマジシャンなら、プロ・アマ問わず垂涎の一冊と言って良いのではないでしょうか。

作品解説の合間に細かなアドバイスがあるという類いの本もありがたいですが、この本はそれらとは一線を画し「理論書」といって良い内容です。いくつかの作品も解説されていはいますが、その手順だけなら数ページで済んでしまう事でしょう。それ程、理論の方に注力しています。20代でFISMのカードマジック部門の世界一に輝いたヘルダー・ギマレスの、頭の中を垣間みる事のできる貴重な一冊です。

Hélder Guimarães(著)
滝沢 敦(訳)
東京堂出版

レビュー

なし