garamanのマジック研究室

和妻師・一蝶

既に伝説として過去のものになっているのものと思われた日本伝統の和妻。しかし歌川流和妻は細々と続いており、その15代目宗家・歌川一蝶(うたがわ・かずは)は、和妻の再興を願って上京する。一蝶が入学した大学には現代風の奇術部があり、こちらの運営もまた風前の灯。そんな中、艶やかな着物姿で古めかしい言葉遣いの一蝶が入部をしたことから、おかしな風が吹き始める。

まさか和妻をテーマにした漫画が登場するとは思いませんでした。それも現代の大学の奇術部を舞台にするとは。。。ただ、日本で古来から存在するマジック文化を「和妻」と呼ぶ事を知らない人が殆どであろう事を考えると、本屋でこの本の背表紙を見かけても手にとってもらえないような気がしてならないのが、残念なところです。

人の心を惹きつける魅力的なマジックとは何か。単に自己満足に浸って悦に入るようなマジックを見せてはいないか?そんな現代にも通じる問いが含まれていながら、和妻の考え方も分かりやすく表現されているという、珍しい漫画です。和妻における心意気が、現代のマジックをより魅力的に見せるために役立つ事もきっとあるでしょう。マジシャンへの有意義な主張も示唆しつつ、マジシャン以外の人も単純に楽しめる、面白い漫画です。取り上げられている和妻は「金輪の曲」「水芸」「胡蝶の舞」などの本格的なものから、「縁(えにし)の糸」や「黄身返し」などのお手軽なものまで幅広く登場します。それもそのはず、現代の和妻師・藤山晃太郎氏が協力されています。

まさか和妻をテーマにした漫画が登場するとは思いませんでした。それも現代の大学の奇術部を舞台にするとは。。。ただ、日本で古来から存在するマジック文化を「和妻」と呼ぶ事を知らない人が殆どであろう事を考えると、本屋でこの本の背表紙を見かけても手にとってもらえないような気がしてならないのが、残念なところです。

全3巻です。

藪野 続久
集英社(ヤングジャンプコミックス・GJ)

レビュー

なし