garamanのマジック研究室

死と奇術師

1936年。ロンドンにおいて不可解な事件が起きた。高名な心理学者であるアンセルム・リーズ博士が、自宅の書斎で殺されたのだ。犯人がいるような手がかりは見当たらない。博士が命を落とす直前に、書斎にいる博士の生存を確認していた人物もおり、その間書斎を出入りした人物がいないことも確認された。現場は完全な密室状態。どう見ても自殺以外にあり得ない状況。しかし、博士は喉元を鋭利な刃物で斬り付けられ失血死しており、かつ、現場に凶器はない。

この不可解な事件の捜査を依頼されたのが、元奇術師の私立探偵ジョセフ・スペクター。不可能犯罪には奇術師の頭脳が適任とばかりに捜査に協力していたスペクターだったが、そんな彼の前に再び不可解な密室殺人が突きつけられる。果たしてスペクターはどのように真実にたどり着くのか。

ジョン・ディクスン・カーやエラリィ・クイーンをはじめ、日本の本格ミステリなどの影響も受けているトム・ミードによる初の長編ミステリです。そして、犯人を突き止める直前に読者に問いかけるスタイル。しかもその解決部分を袋とじにして期待値を高める売り方。ハマる方にはハマる逸品です。

トム・ミード (著)
中山 宥 (訳)
早川書房


電子書籍版もあります。

レビュー

なし