garamanのマジック研究室

地獄の奇術師

二階堂黎人(れいと)氏の手になる、二階堂蘭子シリーズ第1作目の小説です。二階堂黎人は主人公である蘭子の義理の兄にあたり、この小説の著者でもある、という現実と空想がリンクしたような設定です。怪奇趣味たっぷりの長編探偵小説です。子供の頃に読んだ江戸川乱歩の独特の世界観が蘇り、懐かしい印象を受けました。まったく予備知識を持たずに読み始めましたが、26ページ目で顔中に包帯を巻いた怪しげな男が登場したところで「ああ、推理小説ではないのか」と感じて少しガッカリしました。トリックの謎解きが好きな私としては推理小説であって欲しかったのです。ただ、子供の頃読んだ江戸川乱歩の雰囲気を感じたので、懐かしさに惹かれて読み進めました。「……ヒヒヒヒヒ」と笑うミイラ男。車庫の屋上に立つミイラ男は「ケ、ケ、ケ、ケ、ケ……」と奇妙な声を上げながら、外套をひるがえして庭に降り立ちます。

こんな調子ですから私のサイトで紹介するタイプのものではないかと思っていましたが、メイントリックは奇術趣味に溢れた興味深いものでしたので、紹介する事にしました。

ただ、色々な要素を詰め込もうという姿勢が強すぎる気がします。これほどクセのある作品もはじめてです。そのせいか、世間の評判も両極端のようです。全体で500ページを超える作品ですが、巻末に16ページもの注釈をつけてあり、本文には頻繁に注釈への参照番号が出てきます。ストーリーを読みながら注釈番号が出てくるたびに、巻末の注釈を参照すると大抵後悔するでしょう。「○○の小説『××』を読まずしてSFを語ることはできない」といった、ストーリーと全く関係のない薀蓄が飛び出します。この小説を手に取った人が皆SFを語るとでも思ったのでしょうか?それともただ知識をひけらかしたのでしょうか?これでは反発を受けるのも仕方ないかと思います。ただ、小説を分析しつつ他の作品と比較しながら読めるほどのマニアなら、注釈を読むたびに「そう、そう!」と嬉しくなるのかもしれません。私は小説マニアではありませんので「今言うこと?」とツッコミたくなる場面が多くありました。。。かといって注釈を読まないのも問題になる場合があります。登場人物の血液型が重要になるのですが、その一覧は注釈ページに書いてあるのです。「いや、それは本文に書いておこうよ」と思った人も少なくないと思います。

二階堂 黎人
講談社文庫

レビュー

なし