garamanのマジック研究室

リハビリ・マジック

リハビリの現場にマジックを。と言っても障害をお持ちの方に健常者が慰安目的でマジックを披露するのではありません。障害をお持ちの方が主役になりマジックを演じるのです。マジックはできるようになれば楽しいものですが、できるようになるまでに結構な反復練習が必要です。この反復の時間も楽しめるようならマジックはできるようになるものです。そして、楽しみながら練習することができるようなら、リハビリに最適なのではないでしょうか。具体例を挙げるとわかりやすいかと思います。何らかの理由で左手をスムーズに動かせなくなった方がいるとします。1日に何度も「手を開いたり閉じたりする練習を繰り返す」そんなリハビリを継続するのは大変なことです。でもちょっと視点を変えて「左手の人差し指と中指に輪ゴムをかけて握り、パッと手を開くと輪ゴムが薬指と小指に移動する」というマジックの練習を続けるとしたらどうでしょう。手を閉じたり開いたりするだけの単純作業にも、楽しめる意味が出てきます。

認知機能のリハビリに適したマジックもあれば、運動機能のリハビリに適したマジックもあります。誰にでも効果的な万能なマジックはありませんが、たくさんのマジックの中にはきっとその方に合うマジックがあります。この本は、リハビリを担当する医療従事者の方に向けて書かれています。是非、ご自分の担当の方を頭に思い描きながら、この本を読んでいただきたいと思います。

デビッド・カッパーフィールドは、1982年に「PROJECT MAGIC」という非営利団体を立ち上げて活動を始めていました。こういった試みは、世界中で実践されています。日本ではまだ普及していないようですが、この本がきっかけになるかもしれません。

麦谷 眞里
東京堂出版

レビュー

なし