garamanのマジック研究室

ザ・マジック 041号〜050号

デアゴスティーニから刊行された、隔週刊「ザ・マジック」。マガジンとDVDのセットで解説をするというスタイルは、マジックのレクチャーにはちょうど良いのかもしれません。監修はメイガス氏。現代のターベル・システムとなり得るか。
隔週刊 ザ・マジック シリーズ紹介

No.041

MAGIC
111. お札印刷機
112. 6 & 9 カードトリック
113. マジシャンズ・チョイスの予言

付録
* お札印刷機


今号は基本テクニック講座はありません。作品解説は3つです。ひとつ目は「お札印刷機」。付属しているテンヨー製のアイテムを使うと誰でも不思議な現象が起こせます。手のひらに収まる程度の小さなローラー印刷機に白紙を通すと、千円札の絵が書かれて出てきます。子供騙しなおもちゃのようですが、さらにそのイラストの千円札を通すと本物の千円札になって出てきます。テンヨー製ならではの高品質です。ふたつ目は「6 & 9 カードトリック」。観客に選んでもらった2枚のカードをデックに戻してよく混ぜた後、一瞬で2枚のカードを見つけ出すマジックです。みっつ目は「マジシャンズ・チョイスの予言」。マジシャンズ・チョイスというテクニックをダイレクトに使ったマジックです。この原理の強力さを理解するための習作といったところです。

第33号以来の久しぶりの HISTORY OF MAGIC は、近代奇術の父・ジャン・ウジェーヌ・ロベール=ウーダンの続編です。現在では創作話ということで落ち着いている話ですが、ウーダンがマジックを始めるきっかけにまつわる涙を誘う話が掲載されています。また、実際に彼が発明して演じていた3つの作品について詳しく解説されています。「パレ・ロワイヤルの菓子職人」「魔法のポートフォリオ」「オレンジの木」といった伝説の作品について解説されています。



No.042

MAGIC
114. 不思議な新聞紙
115. プレフィギュレーション
116. クレヨンの透視

付録
* 不思議な新聞紙


今号は基本テクニック講座はありません。作品解説は3つです。ひとつ目は「不思議な新聞紙」。付録を見てびっくり、折り畳まれた新聞紙が入っています。古新聞を買ったような気分になりますが、もちろんこれも道具の一つ。ある仕掛けが施されています。折り畳んだ新聞紙に水を注いで、ひっくり返してもこぼれないどころか、新聞紙を開いてみても水はどこにもありません。ところが、もう一度折り畳んでひっくり返すと、先ほどの水が出てきます。誰でも一度は見たことがあるほど有名な作品です。ふたつ目は「プレフィギュレーション」。セルフワーキングの予言トリックです。観客自身に1枚のカードを選んでもらい、これを予言のカードとします。その後観客がカードをディールし好きなタイミングでストップしてもらったところから出てきたカードを使って、それと同じ数字のカードを次々と現します。しかも観客自身の操作で。しかも、最後の1枚ははじめに観客自身が予言としておいてあったカードなのです。観客自身が予言するという珍しい作品です。みっつ目は「クレヨンの透視」。3本のクレヨンから一本を観客選んでもらい封筒にしまって見えない状態にしますが、マジシャンは封筒の中を透視してその色を当ててしまいます。古くからある作品で、子供でもすぐに覚えて実演できる名作です。

HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では若い才能「高重翔」氏が取り上げられています。The Japan Cup や FISM ACM 等で名を挙げ、FISM WCM 2018 ではオリジナリティー豊かなマイザーズ・ドリームを演じて、パーラー部門第3位を獲得して話題になりました。いくつかのテレビ番組にも出演したことから、一般にも知られ始めたところでしょうか。今後も益々活躍しそうな才能の持ち主です。



No.043

MAGIC
117. カードボックス
118. スプーン曲げ

付録
* カードボックス


基本テクニック講座では、久しぶりにカード・テクニックが扱われます。ブラフ・パスを使って、特定のカードを相手に選ばせたり、相手が選んだカードを特定の場所に移動させたりすることができます。

作品解説は2つです。ひとつ目は「カードボックス」。相手が選んだカードをビリビリに破いて細切れにし、そのうちの一片だけ観客に預けます。残りのすべての紙片をカードボックスに入れておまじないをかけます。カードボックスを開くと紙片が全てくっついて復活し、観客の持っている一片とピタリと一致します。道具のカードボックスは付属しています。カードの復活現象として演じることもできますが、この道具を使うと特別な技法を使わずに透視現象を演じることもできます。ふたつ目は、なんと「スプーン曲げ」。山ほどある方法の中で、簡単に手に入るスプーンでできる範囲でありながら、適度な技法だけで演じることができる、実用的な方法が解説されています。手を触れずに曲げる、あり得ない方向に捻る、縦に持ったスプーンの頭がポトリと落ちる、など衝撃的な現象が起こせます。

HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD もお休み。その分、スプーン曲げは充実しています。



No.044

MAGIC
119. ミラクル・トライアンフデック
120. グラスからのハンカチ脱出

付録
* ミラクル・トライアンフデック


基本テクニック講座では、ついに「クラシック・パス」が登場です。これが堂々とできるようになれば、ワンランク上の作品にもチャレンジできるようになるでしょう。

作品解説は2つです。ひとつ目は「ミラクル・トライアンフデック」。この号のメインで、7ページを割く力の入れようです。裏表バラバラに混ぜた1組のデックが、観客の選んだ1枚を残してすべてのカードが表向きに揃います。そんな高度な現象も付属のデックを使えば難しいテクニックなしで実現できます。ちょっと準備は大変ですが。ふたつ目は「グラスからのハンカチ脱出」。グラスの中に赤いハンカチを入れ、グラスの口にはテーブルクロスをかけて輪ゴムで固定してしまいます。赤いハンカチはグラスの中で簡易的な密室に閉じ込められている状況です。にも関わらずグラスの底からスルッと赤いハンカチがすり抜けてきます。

HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD もお休みです。



No.045

MAGIC
121. プリンセス・カード
122. ビリヤード・ボール(後半)

付録
* プリンセス・カード


基本テクニック講座では、「トップ・カバー・パス」が解説されています。今後の作品でこの技法を使うケースがあるのかどうかは分かりませんが、いったん覚えてしまえば、即席で何かを演じる時や突発的なお客様とのやり取りの中で、重宝するときがあります。

作品解説は2つです。ひとつ目は「プリンセス・カード」。5枚の絵札を見せて好きな1枚を記憶してもらいます。マジシャンは観客の表情からそのカードを読み取り、見事に当ててしまいます。必要なカードは付属していますし、技術的な難易度は低いです。それでいてこの超能力的な演技が可能です。ふたつ目は「ビリヤード・ボール(後半)」。第38号の続きです。広げた指の間に4つのボールが現れたところから続きが始まります。ボールがひとつ減り、さらにひとつ減り、2個になってしまったボールを両手にひとつずつ持ちます。直後に右手のボールが2個に増え、続けて左手のボールも2個に増えます。すかさず息を吹きかけるとまたボールはひとつずつに戻ります。手にしたボールを箱に捨てますが、再び手から現れます。捨てても捨てても手からボールが現れますが、最後にようやく全てのボールが消えて、演技が終わります。8ページに及ぶ解説が力の入れようを物語っています。

作品解説に力を入れたときのお約束で、今回も HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD もお休みです。



No.046

MAGIC
123. マネーショック
124. チンクアチンク
125. カレンダー・トリック

付録
* マネーショック


基本テクニック講座はありません。作品解説は3つです。ひとつ目は「マネーショック」。付属の道具を使ってインパクト抜群の現象を引き起こせます。5枚の白い紙の束を、二つに折り畳んでもう一度広げるだけ。それだけで5枚の千円札の束に変わります。ふたつ目は「チンクアチンク」。サイコロや角砂糖などを使って演じる「チンクアチンク」が14号で解説されていますが、今号ではそれをコインマジックとして実現した、デビッド・ロスの基本的な手順が解説されています。みっつ目は「カレンダー・トリック」。観客に好きな月のカレンダーを選んでもらい、任意の位置の 2x2 の4マスを決めてもらい、その4つの数字を足してもらいます。その合計数を聞くだけでマジシャンは選ばれた4つの日にちを当てるというものです。(が、私はこの作品を不思議だと感じたことが一度もありません。通用するのかな...)

HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では、「魔法使いぺる」さんが紹介されています。クロースアップからイリュージョンまでこなす、数少ない女性マジシャンです。得意とするのが「小ネタ」「ギャグ系」「メルヘン系」と、たまたま全て私(garaman)の好みに当てはまらず...。それはさておき、いつも笑顔の楽しそうに演技をされるマジシャンです。たくさんのテレビ番組に出演されたこともあり、すでに知名度は充分な方です。加えて、最近では女流プロ雀士としても活動されているのだとか。



No.047

MAGIC
126. インビジブル・デック
127. アンビシャス・カード

付録
* インビジブル・デック


今号は、今までの中で一番「求められる一冊」かもしれません。やってみたいのはこれだった、という方が多いのではないかと思います。まず、基本テクニック講座では「ティルト(ディプス・イリュージョン )」が解説されています。そして、作品解説は2つです。ひとつ目は「インビジブル・デック」。必要なデックは付属しています。このデックを使えば「観客に1枚のカード適当に決めてもらい、その後にデックを箱から出したにも関わらず、観客が決めたカードだけが裏返っている」というあり得ない現象が起こせます。しかも簡単に。5ページにわたって詳細に解説されていますが、難易度は低いです。それだけ付属のデックのアイディアが素晴らしいという事です。立って演じる場合と座って演じる場合のそれぞれに実践的なアドバイスがあります。ふたつ目は「アンビシャス・カード」。観客のカードをデックの中に入れても、一番上から現れる、そんな現象を繰り返す有名な作品です。そしてそのために大事になる技法のひとつが、基本テクニック講座の「ティルト」だったのです。

HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD もお休みです。



No.048

MAGIC
128. ピックポケット・デック
129. スプーン曲げのジョーク
130. シルバー & カッパー(ノーギミック・バージョン)

付録
* ピックポケット・デック


基本テクニック講座は、久しぶりのコイン技法「コインのチェンジ・オーバー」です。もう一方の手にコインを持ち変える動きの中で、あらかじめパームしていたコインとすり替える技法です。実用的です。作品解説は3つ。ひとつ目は「ピックポケット・デック」。付属の道具を使って、観客のポケットに入れたデックを丸ごと摺りとるという現象が起こせます。準備の必要なマジックですが、そういう手間もマジックの楽しみのうちです。ふたつ目は「スプーン曲げのジョーク」。テーブルに押し付けて力ずくで曲げたスプーンが一瞬で元どおり。さらにぐちゃぐちゃに曲げたり一瞬で消えたり。みっつ目は「シルバー&カッパー(ノーギミック・バージョン)」。第8号ではギミックコインを使ったバージョンが解説されていましたが、今回はギミックコインなしで実現する方法です。

HISTORY OF MAGIC はお休みです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、マジシャンの意見を集めて作られたマジシャンのためのカード「Straight Playing Cards」と、それを生み出した山崎啓介氏が取り上げられています。「Straight Playing Cards」は、消耗品として気軽に使える手頃な価格でありながら、かゆところに手が届く工夫が施されています。



No.049

MAGIC
131. 絵札の予言
132. ライジング・カード

付録
* 絵札の予言


基本テクニック講座は、カード技法が2つ「ドリブル・フォース」と「サイド・スティール」です。どちらもいろいろな作品で使用される実用的な技法です。作品解説は2つ。ひとつ目は「絵札の予言」。付属のカードを使って、面白いサッカー・トリックが演じられます。サッカー・トリックとは、一見失敗したように見えて実は...という展開になるものです。なので現象の説明自体をしませんが、カード当ての類で、面白いエンディングが待っています。ふたつ目は「ライジング・カード」。デックから観客のカードが迫り上がってくる現象ですが、仕掛けを使わない2つのバージョンが解説されています。

HISTORY OF MAGIC と WELCOME TO MAGIC WORLD はお休みです。



No.050

MAGIC
133. カップ1個とボール1個の手順
134. 転がるタバコ
135. マガジンテスト

付録
* カップ & ボール


基本テクニック講座はありません。作品解説は3つ。ひとつ目は「カップ1個とボール1個の手順」。カップ & ボールの基本変として、カップとボールを1個ずつ使った手順が解説されています。付属されているのはカップがひとつとボールがふたつ。(はい、ボールはふたつ使います)。シリーズの折り返し地点に到達して、いよいよクラシック・マジックの王道が解説されました。ふたつ目は「転がるタバコ」。手を触れずにタバコがコロコロと転がります。きっと想像通りの展開です。みっつ目は「マガジンテスト」。原理としては最もシンプルな手順ではないでしょうか。間違いのない演技ができます。

久しぶりの HISTORY OF MAGIC は、第33号と第41号に引き続き、3回目の「ジャン・ウジェーヌ・ロベール=ウーダン」です。息子と演じた透視術や人体浮揚に関する記述に始まり、引退から晩年までのエピソードや、彼自身の回顧録から取り上げたアルジェリアでのエピソードなどが綴られています。WELCOME TO MAGIC WORLD では、豪華客船「飛鳥Ⅱ」専属のマジシャン、渡邊 卓也氏が取り上げられています。弟子としての修行時代から、飛鳥Ⅱの専属マジシャンになるまでの簡単な略歴が紹介されています。



Magician MAGUS
DeAGOSTINI

レビュー

なし