MAGIC : A PICTURE HISTORY
ミルボーン・クリストファーの著作。古き良きマジックの世界を、およそ300枚の写真で綴った歴史書です。古代エジプトのベニハッサンの壁画に描かれているマジックの風景から始まり、1900年代初め頃に活躍していたマジシャンまで、ステージマジックに焦点を当てて年代順に綴っています。ベニハッサンの壁画については現在の研究によれば、マジックを演じているものではないようですが、ウェストカー・パピルスの記述は紛れもなくマジックの風景を描写しています。長い長い歴史があるのです。そこから現代までのマジック史には日本のマジックも登場します。海外に日本の芸能がお披露目されるのは、安政5年(1858年)の「安政の5ヶ国条約」が結ばれてからの事になります。特に慶応3年(1867年)のパリ万博を見据えて、多くの芸人が一座を組んで海外に渡っています。その時代「薩摩一座」がアメリカに渡っていますが、彼らと思われる [SATSUMA'S ROYAL JAPANESE TROUPE] と書かれたパンフレットも紹介されています。和服なのは当然ですが、髷(まげ)を結って正座している芸人達が描かれたパンフレットは、今の日本人から見ても異様な存在感を感じます。和洋を問わず過去の偉大なマジシャン達の手を経て、今のマジックがあると思うと感慨深いものがあります。
224ページの充実の内容です。サイズは 28.4 x 21.4 cm という大判ですので、写真やパンフレット・ポスターなど贅沢に楽しめます。たとえ英語が読めなくても満足できるような内容です。
レビュー
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5. TWENTIETH-CENTURY SORCERERS 1-5