Card Fictions (日本語・増補改訂版)
ピット・ハートリングの名著 [Card Fictions] の日本語翻訳版です。2012年にハードカバー版で出版されたもののすぐに完売。その後ソフトカバー版として再販されるも、こちらもすぐに完売。そして2019年に再再版されました。2019年にはピット・ハートリング自身が原著をアップデートされているので、それを底本として翻訳し直したとのことで、増補改訂版と銘打たれています。翻訳者の富山達也氏の軽やかな情熱のおかげで、最新の情報にアップデートされた名著を日本語で読むことができます。
個性豊かな7つの作品を通して、その背後に流れる考え方を余すことなく解説してあり、簡単なトリックが本当の魔法に昇華していく様子が理解できます。作品数は7つしかありませんが、それに130ページ程を費やしているのです。単純な手順解説だけではないことがそれだけでも分かります。表現したい現象に妥協はせず、観客の目線を疎かにせず、観客の脳が自然に誘導されるような布石を散りばめ、レギュラーデックだけで奇跡を起こします。観客の反応までも含めて作品を作り上げていくようなスタンスで、マジシャンのあるべき姿を提示してくれます。翻訳者のおかげか、とても読みやすい文章で、何度も読んで味わいたくなるおいしい一冊です。
レビュー
なし