カード・マジック宝石箱
氣賀康夫氏によるカード・マジックの解説書です。選りすぐりの10作品が解説されており、そのどれもが氏特有の洗練されたアイディアに彩られています。多くのマジシャンと交流を持ちその関係を育んできた過程で、氏の作品たちも次第に成長してきたことでしょう。そんな長年にわたって育てられてきた作品たちが、この本の中に勢揃いしたような印象です。易しい解説でありながらその背景にある思惑もきちんと解説されているため、深く理解することができます。また、奇術編のあとに技法編がくるという構成が、この本の大きな特徴の一つです。単に順番が逆というだけではありません。「いくつかの技法を覚えて組み合わせると作品が出来上がる」というアプローチではなく「演じたいプロットに合わせて必要な技法を覚える」というスタンスの違いと考えて良いでしょう。鋭い視点だと思います。
同著者による「コイン・マジックへの誘い」と同じように、QRコード付きで著者自身の演技が見られるのも大きな特徴です。
レビュー
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4枚だけのエース (Open Travelers)
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赤と黒 (Out of This World)
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色鮮やかな凱旋 (Colour Triumph)
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おもてなし (All Backs)
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どこにもないが、どこにもあるカード (Everywhere and Nowhere)
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水と油 (Oil And Water)