garamanのマジック研究室

ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

東京の不動産会社に勤める神尾真世は、同じ会社の先輩である中条健太と結婚を控えていた。そんな中、田舎から同窓会の招待メールが届く。その同窓会の先生は、真世の父。当時から「先生の盗聴器」などと揶揄されていたことが引っかかり、同窓会への出席を悩む真世。そんなささやかな悩みに揺れつつ、幸せな日々を過ごしていたある日、唐突に父の死が知らされた。警察は亡くなったという事実は教えてくれるものの、その死因は教えてくれない。事件性があるのは確からしいが真相がわからない。結局、真世は思いもよらない形で実家に戻ることになった。実家があるのは、時代の波に取り残されつつある小さな田舎町。新たに打ち出された街づくり計画も新型コロナウィルス感染症の影響で白紙に戻ってしまったようだ。「街づくりの計画」「同窓会」「父親の死」。それらのつながりとは。

父親の死の謎の前に、さらに謎の人物が現れる。父の弟である武史だった。アメリカでマジシャンとして活動していたが、なぜか帰国して今は店を経営しているという謎だらけの男は、警察よりも先に兄の死の謎を解決すると意気込む。人を食ったような独特なやり方で真相を探る武史。それに振り回されつつ真相に近づいていくその実力を信じていく真世。不思議な距離感の2人の捜査が始まる。

マジシャンならではの独特な捜査方法がストーリーを面白く軽快に色付けしていきます。まだまだ謎を残している武史の様子からは、続編の存在も期待させます。

東野 圭吾
光文社

レビュー

なし