garamanのマジック研究室

神様の愛したマジシャン

北岡宇宙という有名なマジシャンを父に持った、とある大学生の青春ストーリー。マジックが好きになったきっかけは、祖父のちょっとしたマジックだった。宴会に呼んだ芸人から教えたもらったと思しき、その小さなコインマジックが、少年をマジックの世界に引き入れた。たまたま父もプロマジシャンとして活躍していた彼にとって、マジックに触れるのは運命だったのかもしれない。大好きなマジックを続けていた高校時代には、同好会のような組織がなく残念な環境だったが、その分、観客には不自由しなかった。人前で披露する魅力を味わいながらも、その思いを共有出来る人が欲しくなったのか、進学するときには、マジック同好会がある大学を選んでいた。マジックに真剣に向き合う環境に身を置いて初めて、プロになるかどうか迷い始めた。明るく甘く爽やかに流れる同好会での時間。自分の才能への不安。節目節目で心に触れる父の言葉。マジックの魅力。揺れながら成長する一人の少年の物語。

著者は小石至誠氏。そう、ナポレオンズの喋る方、パルト小石氏です。2008年の発行です。プロマジシャンが書く、マジックをテーマにした小説。そう聞けば誰もが真っ先に推理物、ミステリーを想像することでしょう。でもこの小説は違います。少年が大学生活を通して、プロの道に進むかどうか、自分には本当に才能があるのだろうかと思い悩む、青春ストーリーです。

書店に並んだ当初、一度は手に取ったものの、帯に並ぶ大げさな美辞麗句にちょっと引いてしまい、結局買わずに数年が経ってしまいました。マジックの世界は、身内に甘かったり、大げさな表現をする傾向があるため、深読みして本の内容を判断してしまったのです。あとで読んでみて、ちょっと後悔しました。これ、良い本です。

小石 至誠
徳間書店

レビュー

なし