空のオルゴール
中島らもの、いい感じに気の抜けた一冊。登場人物のいい加減で無神経な言動の数々。非現実的なほどの倫理観の欠如。躊躇なく覆す常識。何かに期待してこの小説を読めばきっと裏切られます。心震わせるエンディング?ない、ない。伏線の回収?しない、しない。「意味深な言動があったらきっと何かの伏線に違いない」などという、つまらない常識には囚われていません。「意味深な行動?だってそういう奴だもん、こいつ」くらいのノリです。人間の面白さをそのまま味わえば良いのでしょう。
舞台はフランス。教授の指令を受けて、ロベール・ウーダンの足跡を辿るためにやってきたトキトモは、現地で後輩のリカと再会する。ロベールウーダンに詳しいマジシャンを紹介され、彼の弟子たちとも親しくなったトキトモだったが、すぐに連続殺人事件の幕が開いた。マジシャン仲間が次々と謎の死を遂げる中、その犯行は、なぜかマジシャンたちを嫌うファンダメンタリスト集団によるものであることがわかった。マジシャン対ファンダメンタリストの殺し合い。そんな恐怖のストーリーが、、、超テキトーなノリで進行していく。
軽妙洒脱で、ちょっと品のない小説です。ロベール・ウーダンの自伝は、テキトーに盛った話の目白押しですから、それに合わせたのかもしれません。
レビュー
なし