garamanのマジック研究室

高座の上の密室

神楽坂倶楽部シリーズの2冊目。1冊目は「神楽坂謎ばなし」というタイトルで、寄席を舞台として軽妙で独特な世界観を描写し、落語の魅力を裏側から表現したようなお話でした。ただし、肩透かし感を味わった読者も多かったはず。ミステリ作家の書く小説としては物足りなさを感じたのではないでしょうか。それもそのはず。実はシリーズものの1冊目だったのです。2冊目の「高座の上の密室」では、手妻(てづま)と太神楽(だいかぐら)という、いわゆる色物に焦点を当てつつミステリが進行していきます。シリーズとしての姿も見えてきて、安心して寄席の独特な世界観を楽しみながらミステリを味わえるようになりました。そして3冊目の「はんざい漫才」へと期待は続きます。

出版社に勤めていた主人公・希美子は、ひょんな事から神楽坂倶楽部という寄席の席亭(プロデューサー)の代理を務めることに。楽しげな寄席も、裏ではいくつものトラブルが続発。独特な風習に不慣れな希美子は、それでも席亭が戻るまではしっかりとその務めを果たそうと奮闘する。そんな中、五代目藤島天翔斎という美人女性手妻師と出会う。華麗な手妻を披露する手妻師は、まだ幼い自身の娘を舞台に上げ「葛籠(つづら)抜け」を披露する。子供がギリギリ入れる大きさの葛籠に娘が入り、蓋をして観客に紐で結わいてもらう。そこから見事に脱出する日本古来の演目。たまたまテレビ関係者の目に止まり、美人手妻師と可愛い娘の演目は大きな話題に。ある日、いつものように舞台で葛籠に入った娘が、忽然と姿を消した。脱出するはずの娘が消失したことに茫然自失の母親手妻師。さらに、娘を探しに舞台を降りた手妻師もまた失踪してしまう。果たして2人の運命は。。。

当サイトではマジックしか扱いませんので2冊目の「高座の上の密室」しか紹介しませんが、他の巻もおすすめです。なお、1冊目を読んでいない人でも充分楽しめるように工夫されていますので、「高座の上の密室」だけでも楽しめます。

愛川 晶
文春文庫

レビュー

なし