garamanのマジック研究室

オレンジシルク

彼氏いない歴が年齢と一緒という2人のOL、印子とキヨミ。冴えないながらも何気ない日常を、特に不満もなく過ごしていた。キヨミに彼氏ができるまでは。。。マジシャンのアシスタントしているヨネ太郎と付き合いだしたキヨミ。少し遅れてユウトという名のイケメンマジシャンに心を奪われた印子。幼なじみとしての関わりは続けながらも、自分の恋の話ではつい見栄を張ってしまうふたり。時に喧嘩をしながらもいつでも話を聞いてくれる相手。お互いがちょっと見栄を張っていることもきっとお互いに気づいている。だからこそ安心して嫌味のひとつも言い合える絶妙な信頼関係。そんな2人の恋物語は、それぞれに苦悩を抱えることになる。キヨミの恋は成就するのか。ヨネ太郎の恋は本物なのか。印子はなぜユウトの本を去り、自らがマジシャンへの道に進むことを決意したのか。そして、ユウトはなぜ印子の気持ちに応えないのか。それぞれの思惑が収束していくにつれ、4人の絆は深まっていく。

軽やかに進むストーリー。小気味良いリズム感。それぞれにクセがありながらもどこか憎めない登場人物たち。そして何より著者の軽妙な語り口に、最後のページまで自然に導かれていきます。講談師の著者ならではの一冊ではないかと思います。

神田 茜
新潮社


「オレンジシルク」が、単行本化するにあたって「一生に一度のこの恋にタネも仕掛けもございません。」と改題されました。

神田 茜
新潮文庫


電子書籍版もあります。

レビュー

なし