garamanのマジック研究室

二つの影

自分自身の死を報じるニュースを見たマロリー巡査部長は、部下が殺害された事に戸惑う上司の元に颯爽と現れ、事件の詳細を知るや「わたしにやらせてみたい?」と捜査に乗り出す意欲を見せる。マロリーのブレザーを着て殺された女性の名はアマンダ。彼女はマロリーと間違えられて殺されたのかも知れない。そんな危険にわが子同然のマロリーを晒したくはない。しかし、社会病質者であろう犯人を追い詰めるには、同じ社会病質者であるマロリーこそ相応しい。かくして、マロリーによる姿の見えない犯人狩りが始まった。

独自の手法で捜査を続けるマロリーは、犯人がアッパー・ウェストサイドの高級コンドミニアム<コヴェントリー・アームズ>に住む上流階級の中にいると判断し、大胆にも潜入捜査を試みる。一方、アマンダが残した私設小説の中に犯人へ繋がるヒントを見つけ、未だ姿の見えぬ犯人を至近距離で精神的に追い詰めていく。

マロリー・シリーズ2冊目です。1998年に日本語版が発行されました。

上記のメインストーリーをよそに、2つのサブストーリーが絡んできます。1つは、超能力少年が先の尖ったものを飛ばし、義理の母を殺害しようとしているという奇妙な事件。犯人は本当に少年なのか、また目的は何なのか?不思議な現象は確かに起こるが、その犯人も目的も見えてこない謎のストーリー。

もう1つは、精神を危険に晒す程の奇蹟のイリュージョン。伝説のマジシャン・マラカイは、若くして亡くした妻を思うあまり、その亡霊と共に過ごし、常にそばに妻の幻影を見せていた。さらにそれを舞台に取り込み、マラカイのイリュージョンをみる観客は、居もしないマラカイの妻の存在を確実に感じていた。ある者は彼女がそばを通りその香りを感じたと言い、ある者は彼女に触れたとまで感じた。そんなマラカイのイリュージョンを体験したチャールズは、今回のアマンダの死の真相に迫るべく、アマンダの幻影を作り出そうとする。しかしそれは、マラカイと同じく狂気の領域に足を踏み入れる事に違いなかった。

この奇術的要素の強い2つのサブストーリーがメインストーリーと絡み合い、結末へと収束していきます。チャールズの最後の言葉は衝撃的です。

Carol O'connell
原 真実(訳)
竹書房文庫


2001年に創元推理文庫から別の翻訳本が発行されました。タイトルは「アマンダの影」です。

Carol O'connell
務台 夏子(訳)
創元推理文庫

レビュー

なし