泡坂妻夫 マジックの世界
泡坂妻夫氏によるオリジナル作品集です。作品自体は30〜40年程前に発表されたものが多いようです。最近出版される日本の本では、新しいカードマジックに焦点を当てたものが多い中、あまり時代に捕らわれない(流行に影響されない)作品が多いような印象を受けました。流行っているからとか、最近注目されている技法を取り入れているから、というのではなく、しっかりとした理論に裏打ちされた作品だからなのかもしれません。そこには、石田天海氏の影響を思わせるような「観客と一緒に現象に驚く」ような演出が取り入れられていたり、著者独特のトポロジカルな作品も見受けられます。カード・コイン・ロープ・リング・パズルの5つの章に分け、50種類以上の作品が収められています。
随所に石田天海氏との思い出が語られていたり、マジックの歴史の一部が垣間見えたりするところも、この本の特徴です。また、MAパスやMAカウントといった著者オリジナルのテクニックも詳しく解説されています。