ビル・スイッチ
紙幣を使ったマジックだけを扱った本というのは珍しいもので、以前「ビル・マジック」を紹介しました。売れ行きが心配になるほどマニアックな内容でしたが、ターゲットが絞られる分、より深い解説になっていたのが印象的でした。そして今回、さらに的を絞った究極の一冊が刊行されました。千円札を折り畳んで、再び開くと一万円札になっているというマジックは、誰もが一度は見た事があるポピュラーな現象ですが、これは「ビル・チェンジ」とか「ビル・スイッチ」などと呼ばれています。そのたった1つの作品にスポットを当てて、世界中のマジシャンが発表してきたバリエーションを集めたという、異常に内容の濃い一冊です。11カ国、70人以上のマジシャンの手順の集大成です。
もちろん、やみくもに集めたものではなく集めた中から厳選したものばかりです。また、演技はゆっくりするべきか、それとも素早くするべきか?など8つのテーマで、色々なマジシャンの意見が収録されていて、この章だけでも充実の内容です。単なる翻訳ではなく、日本の紙幣でもできるものについてはイラストまで日本の紙幣に変えてあるという力の入れようです。原著者のジョン・ロヴィックはもちろん、翻訳者の滝沢敦氏の熱い思いがなければ刊行されなかった一冊です。そしてやはり東京堂出版でなければ実現できなかったでしょう。
レビュー
なし